20201029 熊井泰明・大砂雅子

あなたの考え方が女性を自殺に追い込むーなぜ若い女性の自殺が多いのか―

 

 自殺の原因は「経済・生活問題や、DV被害、育児の悩みや介護疲れなどの問題の深刻化が影響した可能性がある」と言われています。もしあなたに女の子がいたら、「女の子だから、いずれ結婚するから、素直で勉強もそこそこでいい」と育てていませんか?日本の場合、育児、家事、介護は女性の仕事と考えている男女が多いです。それをうまくこなせば、素晴らしい女性と思われがちです。そして仕事は二の次ですから、特別な資格がない限り、非正規や腰掛程度の正採用が多いです。コロナ禍で、宿泊・飲食サービス業に従事する女性たちが仕事を失うケースが多発し、ついに8月の25歳から34歳の若年女性失業率が4.7%を記録し、2015年以来の高水準となりました。失業率は、仕事をしたいのにできない数字で、年齢別・男女別でこの層が極めて悪化しています。(大砂)

 

今年は、若い俳優や芸能人の自殺が相次ぎました。自殺は究極の選択ですから、各国がその実態や原因を探っています。そのなかで、日本では女性と10代の若者の自殺の割合が多いことが明らかになっています。昨年、自殺者の総数は減ったものの、G7の中では最悪の自殺率が続いています。特に今年の8月は女性の自殺急増が注目されました。

個人の問題、なのか

 自殺の理由は極めて個人的な問題が多く、必ずしも明らかにされていません。しかし、厚生労働省の分析では、10代の自殺の要因は「孤独」、つまり抱え込んだ問題を誰にも相談出来ずに自殺に至ってしまう例が多いことが分かります。男女を問わず、成人になると、世界的には経済と健康上の理由が、自殺要因の上位になります。では、日本人の女性は。

自殺は社会の反映

 19世紀末にはじめて自殺を社会問題として扱ったフランスの社会学者、デュルケームは、自殺の個々の原因に目を向けるのではなく、人を自殺に追いこむ社会の特質を考えることを主張しました。今年は若いタレントがSNSで誹謗中傷にさらされて自殺しました。しかし、それは個人の問題ではなく、ネットという無法社会を何とかしなくては、と問うべきではないのか、被害にあった人をどう支えたら良いのか、を考えるべきではないか。どんなに非常識なことを言っても平然と「言論の自由」と言い放つような人が野放しになるような劣化した社会をどうするか、考えるべきなのだと思います。

日本女性は役割期待に押しつぶされていませんか

 女性の役割が、妻、母、家事などに限定され、家に閉じ込められていた時代、女性は悩むことすら許されなかったかも知れません。ところが、これに仕事をして収入を得るという期待が加わりました。しかも、条件は悪く、期待は一方的で理解も支えも十分ではない。

 

 10代の自殺が彼らだけでは解決できないように、これは女性だけが抱え込む問題ではない。この国全体を動かさないと、あなたの大切な人にも問題が及びかねないのです。(熊井)