20210215 熊井泰明・大砂雅子

「あなたは森みたい」で、社会を変えましょう-森喜朗の功績-

 

 森喜朗の出身地石川県で地元新聞を見ると、森喜朗が政治やオリンピックなど、多大な貢献をしたことが書かれていました。これは二つの見方があります。一つはこの感覚が世界からも東京からもかなり離れていること。他が追随できない気配りで政治力を発揮したが、その他大勢の国民に説明できる透明性がない証拠です。つまり相当な時代遅れ地域を露呈したこと。もう一つは、日本社会に巣くう「男女差別」が仕方ないことだと、先送りにできない状況になってしまったこと。これはブラックジョーク並みの逆張りの貢献と言えます。

 そして、そのような地域で生活する私の友人たちは、家庭内職場内で、しっかり男女の役割分担を果たしてきたため、テレビの各種会議の報道では、男性しか出てきません。石川県は、男性がすべてを決めて、男性がこどもも生んで社会を回しているのではないかと勘違いします。

 でもそのような環境でも「あなたは森みたい」というだけで、反省する人が出てくることを期待しましょう。(大砂)

 

“家事もせず「森けしからん」わが亭主”

“飯まだか 風呂は沸いたか 森だめだ”

  2021213日付「朝日川柳」(朝日新聞)より

 

 これを見て、(多少、苦い)笑いを禁じえなかった男性は、まだ救いがあります。何のことか分からなかった方は、近々掃き捨てられることを覚悟したほうが良いと思います。同じようなネタは、あちこちのニュースショーにも登場しているようですが、いかがでしょう。今年の流行語大賞には「森みたい」を推したいと思います。

 

森発言が残した負債

 一連の騒動のなかで明らかになったことがいくつかあります。まず、日本の常識が世界の非常識であることを世界に連呼してしまったこと。世界では人種、性差、宗教などを問題にすることはやめよう、多様性を重視して困難に立ち向かおう、という流れなのに、日本では高齢男性による「密室取引」が続いている。その一端を川淵氏が期せずして公開したことは、彼の功績と言って良いでしょう。さらに、後任者を検討する委員会のトップが86歳の御手洗氏というのも、頭を抱え込まざるを得ません。女性差別だけなら森氏自身の問題かも知れません。しかし、日本が非常識な国であることが明らかになった以上、私たちは国際的信用を失うという大きな負債を負ってしまったことを覚悟しなければなりません。

 

抜擢のシステムがおかしい

 

 もうひとつは、「密室取引」がまん延した結果、次の世代が全く育っていないこと。世界の優良企業であるキヤノンですら86歳の会長を抱いているわけですから、そこら中の企業に「闇の奉行」としての高齢相談役たちが歩き回っていても不思議はありません。その結果、次の層が育ちません。大学で教えていても、高校までの間に「わきまえる」ことを教え込まれた学生たちに慄然とすることがあります。現在の新型コロナ対応の中でも、若者が追い込まれています。人材はいつでもどこにでもいます。異常なのは、その人材を抜擢するシステムなのです。(熊井)