20190827 大砂雅子

 

「なつぞら」と「地方に足りぬ女性登用の意識(増田寛也)」

 

826日日経新聞の「私見卓見」に元岩手県知事、元日本創生会議座長、野村総合研究所顧問 増田寛也氏の「地方に足りぬ女性登用の意識」が掲載されました。増田氏といえば、東京都知事選で、小池百合子氏に敗れたことが印象深いです。しかし彼ほど、地方の実情を認識している方はいないかもしれません。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48913380T20C19A8KE8000/

 

「東京圏への転入超過数は大半を20代の若者が占め、しかも女性が多い。内閣官房の意識調査によると、若者は東京圏での仕事を選ぶにあたり『給与水準』や『自分の関心に近い仕事かどうか』を重視する傾向が強いが、若い女性は『地元や親元を離れたかった』との割合も高かった。地元に息苦しさを感じて移動している可能性が考えられる。」とある。さらに「高い能力を持って就職しても単純業務が中心となりがちだ。昇進で男性と差別される例が多いともいわれる。」とのこと。そして、「地方には『仕事は男性、女性は専業主婦』という一時代前のモデルが残っている。この現実が地元への閉塞感と東京圏への憧れを生んでしまっている。男性上位という古い社会意識を打破しない限り事態は変わらない。」とあります。「東京一極集中の是正にはまず、地方が女性への意識改革をする必要があろう。」と締めくくっています。政府がいくら地方に予算をつけ、制度の説明をしても、社会の意識が変わらない限り、「地方から若い女性が消える」減少に歯止めがかからないのです。

 

 私が「金沢カッコいい女子の会」の活動を開始して2年近くになります。その前から地方企業の男性幹部の方の話を聞くと、「女性が管理職になりたがらない」「女性を指導したら泣くのではないか?」「女性は仕事にそれほど責任感をもたず、家庭の方を重視する」など、いろいろな意見がありました。それも事実でしょうが、私たちの年代の実の娘たちで優秀な女性たちは、都会に行ったまま帰ってきません。なぜなら、地方には彼女たちを満足させる仕事を提供できないのと、満足させる男性がいないのです。その原因を作った一時代前のモデルである我々年代が、その現状を認識できていないのです。そして「どうしてそんなに都会がいいのかな?」「さっさと帰ってきて嫁に行けばいいのに」など、言うだけで、原因を追究し、改善策を自ら提示できないでいます。

 

先週の「なつぞら」で、なつが仕事を続けるために、社会福祉事務所に相談に行くシーンがありました。その担当のオバサンのコメントがびっくりですが、

 

「お子さんを『犠牲』にするつもりですか?生活のために共働きをしなければならないご家庭があることは十分承知おります。 しかし、本来子供というのは母親が育てるものなのです。 そこを勘違いしていませんか?」戦後すぐとはいえ、新憲法の下、役所のオバサンがこのようなコメントをしていた時代だったとあきれました。その上、さらに「なつぞら」の視聴率が落ちているのは、朝からテレビを見ている「寿退社」世代のオバサンたちの共感を得られないからだそうです。今のオジサンもオバサンも50年前の福祉事務所のオバサンと同じことを思っているのだと、ハタと気づいた私でした。余談ですが、あのオバサンは子供を育てながら、役所でずっと働いてきたのでしょうか?当時なら一旦退職すると、補助要員しかなかったような。不思議です。

 

 こう考えると、若い女性が地方からいなくなるのは、当然の結末です。ではどうしたらいいのか?数で勝っているオジサンやオバサンが、現状を認識し、地方の若者が、仕事や社会生活の場で、意思決定プロセスに参加できるように、後押しすればいいのです。グローバル化について議論も必要ですが、オバサンもオジサンも孫や近所の子供の世話をする。それと、これまでの既得権益を手放す決断が必要なのではないでしょうか?