20200309 熊井泰明

 

オリンピックは開催できるのか?-新型コロナ・ウイルスの影響―

 

 

 

 新型コロナ・ウイルスの特効薬さえ開発できれば、あるいは既存の薬が効き目を発揮してくれれば、すべてが解決するはずです。しかし、毎日、世界中に患者が拡散していることは事実です。39日現在、イタリアで感染者7375人、死者366人など、全世界で感染者109,000人、死者は3,800人に達したと報告されています。特に最近では欧州、米国で急速に感染が拡大しています。ただ、途上国では検査体制が整っていないことから報告例が少ない、という指摘もあり、実際にはこれを大幅に上回る患者が存在すると見られます。国内ではクルーズ船を含めて1,195人ですが、まだ検査体制が不備な状況ですので、実際にはこの数倍はいると見られています。

 

 この影響について、まず国内を見てみましょう。本日、昨年10-12月期のGDP改定値がマイナス7.1%(年率)と発表されました。これは主に消費税の影響によるものですが、1-3月期は新型コロナ・ウイルスの影響で経済活動が止まっていますので、同じような大きな落ち込みが予想されます。2四半期連続のマイナス成長は景気後退の指標なので、今後の経済活動はますます停滞が進むことを覚悟しなければなりません。影響は弱者に出ます。今、一番大きな問題は生活の保障がない、労働人口の4割を占める非正規労働者への対応でしょう。4月からは、原則「同一労働、同一賃金」が適応されますから、企業は人減らしで対応することが懸念されています。

 

 また、日本にとっての大問題は、オリンピック開催が難しくなりそうなことです。国内は数字をごまかせるとしても、現時点で24か国が日本人の入国を制限し、58か国が行動制限に踏み切っています。状況が改善しなければ、海外からの選手も大幅に減って開催は難しくなるでしょう。

 

 31日の放送(BS朝日)で、オリンピック中止となる条件がスクープされました。それによると「中止検討の通告から60日以内に感染を封じ込めなければ中止になる恐れがある」「大会参加者の安全が深刻に脅かされると信じるに値する合理的な理由がある場合は、IOC(国際オリンピック委員会)が独断の裁量で中止できる」「2020年中に開催されない場合は契約解除となり、日本側が保障、損害賠償の権利を放棄する」などが分かってきました。ディック・パウンドIOC委員が中止の判断期限を5月下旬としたこと(後に訂正)は、3月下旬にはIOCが検討に入ることを示唆していると考えられます。また橋本オリンピック担当大臣が年内延期を口にしたのも、この契約内容に沿ったものと言えるでしょう。

 

 9日の東京市場では、午後2時現在で株価は前週末比1,213円安、為替は1ドル102.72円という円高(というよりドル安)、原油はバレル20ドル台で推移しています。日銀にはもう打つべき金融政策手段がありません。政府も大赤字で財政政策の手段は限られています。一番恐ろしいのはウイルス感染拡大の国際的広がりによって、止められない国際的な不況の連鎖という「想定される最悪の事態」が起こることかも知れません。