20200507 熊井泰明

 

コロナ混乱:利他主義こそが危機を救うはずなのに

 

 

 

 新型コロナウイルスが蔓延し始めてから、二つの気になる現象が日本を覆っています。ひとつは、政府が一切の責任を取らないと明言したため、日本の制度的セーフティネットからこぼれ落ちざるをえない弱い立場の人たちが切り捨てられようとしていること。私たちも「自己責任」という冷たい言葉を彼らに浴びせて、自分のはかない安泰に納得しようとしてはいないでしょうか。

 

 もう一つは、「隣組現象」とでも表現したら適切かも知れません。自分の正義を振り回す、多くは高齢者男性を中心としたグループ。悪質クレーマーとかぶるところがありますが、「子どもが遊んでいる」と警察に通報するタイプです。自分で考えて行動する素養を持たないため、権威に頼って他人をねじ伏せようとする人々で、第二次世界大戦当時に国内で多くの国民を死に追いやった「隣組」組織とかぶるところがあります。

 

 そうでなくても同調圧力だけが強いこの国で、私たちは正気を保てるでしょうか。今、新型コロナウイルスが問いかけているのは、そんな私たち日本人の生き方だと思います。

 

稀代のストーリーテラー、スティーブン・キングの初期の傑作に「ミスト」(霧)という短編があります。(後に映画化されましたが、『後味の悪い映画ワースト』に選ばれているので見ないほうが良いです)米国の地方都市で、ショッピングモールが濃い霧に包まれ、そこから逃れようとした人々が、多分、異質な生物に惨殺されて行く。その中でモールに閉じ込められた人々が狂気に追い込まれて行く様を描いた作品です。(熊井)

 

医療従事者やライフラインを維持している方々にエールを送り、感染患者の心に寄り添い、弱者を救える道を考える。ことが、今の社会に必要なことではないでしょうか?利他主義こそ危機を救うはずです。(大砂)