20200305 熊井泰明・大砂雅子

 

「シングルマザーの貧困」さらなる拡大

 

 

 

 なぜ、シングルマザーの貧困が拡大しているか?考えてみてください。我々が指摘する我が国の社会意識と経済活動に根本原因があることが、この新型コロナウイルス蔓延により、歴然としました。結婚時の我慢が足りなかったのではありませんから。(大砂雅子)

 

「幸福な家庭はどれもみな似たりよったりだが、不幸な家庭は不幸のさまがひとつひとつ違っている」 トルストイ、“アンナ・カレーニナ”より

 

 朝、大学に行くために早朝の金沢片町のバス停に立っていた時です。目の前にまだ歩き始めて間もないような二人の子供を連れた、派手な身なりの20代前半の女性が立ち止まりました。そして、二人の子供を抱きしめてしばらく動かなくなり、やがて手を引いて歩き出して姿が見えなくなりました。女性の表情からは、生きることへの疲れが感じられました。

 

 大きな災害に会った人々には支援金や賠償金が支払われます。ところが、これが振り込まれるのは世帯主だけ。その結果、世帯主である男やその親戚が全てを懐に入れてしまい、母子が途方に暮れるケースが頻発しているそうです。(33日付朝日新聞)

 

 単純に結婚数と離婚数を比べると、結婚したカップル3組に1組が離婚しています。慰謝料は原因によりますが、子どもの養育費は双方の収入に沿って負担することになります。ところがその養育費をまともに支払わない、主に男がなんと多いことか。

 

 この国では子供たちが飢餓に追い込まれており、その対応として地域がボランティアベースで食事を提供する「子ども食堂」という仕組みが広がっています。あきれたことには、この取り組みに対して総理大臣が「評価する」という声明を出しました。政府がしっかりしていればこんな制度は不用です。自らの不作為を恥じる気持ちすらないのでしょうか。

 

新型コロナウイルスの蔓延に伴って、経済活動が悲惨な状態になっています。そのしわ寄せはどこに行くのか。もっとも弱い層に行きます。34日、連合(日本労働組合総連合会)が開設したホットラインには、売上低迷などに伴う雇止めなどの相談で電話が鳴りやまない状況だそうです。非正規労働者はすでに4割に達しており、この人たちの生活が危機にさらされています。これまでの経団連の声明などから考えるに、次は正規労働者も失業の危機にさらされることは明白だと思います。

 

 長い間、世界の経済活動を見て来た経験からは、この国が現状を維持できる訳はないと考えています。人類がいまだかつて経験したことのない少子高齢化、異常な財政赤字の蓄積(財政・金融という政策手段が何も出来ない状態になっています)、今に始まったことではないにしろ政治家の腐敗と劣化。それがこの新型コロナウイルスの蔓延によって、最後の防壁を失った懸念があります。

 

 このパンデミック(感染症や伝染病の大流行)にはデジャヴ(既視感)があります。私たちは、最悪に備えて、でも克服する方法はある、という楽観も必要でしょう。どんな不幸な光景の後ろにも、あたりまえの生活や人生があるのですから。そのために必要なことは。(熊井泰明)