20190901熊井泰明

 

「世界を動かす3人の女性-闘うのは男性の特権か」

 

 

 

 今週(831日)、2人の女性が世界を動かしたことに、どれだけの日本人が注目したことでしょうか。

 

 一人は香港の周庭(アグネス・チョウ)さん。香港は中国返還後も2047年までは自由統治が認められていました。中国の支配下では中国共産党に逆らうことは許されませんが、2047年までは民主国家を許容するという前提でした。ところが、現状では中国の方針に逆らう人間は、政治的な行動が許されません。これに抵抗して立ち上がったのが学生を中心とする若者たちでした。そのリーダーの一人が周庭さんです。

 

 報道されている周さんの素顔は、過激とは無縁の穏やかな一人の女性です。しかし、毎日のように拘束され、最悪の場合には行方不明になる危険すらあります。でも、周さんは穏やかに中国政府のどんな弾圧にも負けないという強さを、何事もなかったように語ります。

 

 もう一人は、スウェーデンの高校生グレタ・トゥンベリさん。20188月、スウェーデンで環境問題に抗議するために毎週金曜日に議会前で抗議運動を始め、これが「未来のための金曜日」として全世界に広がりを見せています。ニュースになったのは、国連の気候変動会議に出席のため、環境に負荷を与える飛行機での移動を避け、自らヨットで大西洋を渡ったこと。彼女は航海を終えると、米国の支援者たちと「未来のための金曜日」にさりげなく参加しました。国連でのスピーチが楽しみです。

 

 こうした問題を考えるたびに頭に浮かぶのは、壮絶な弾圧に耐えて人権を主張し、ノーベル平和賞を受けたマララ・ユスフザイさん。私たちが注目しなければいけないのは、マララさんの父親の「マララにどんな特別なことをしたのかと人々に聞かれるが、私は彼女に教育を与え、翼を切らなかっただけだ」という言葉だと思います。

 

 周さんに、日本の一部マスコミは「民主化の女神」という形容をします。なんと愚かなことでしょうか。ここで取り上げた3人は、たまたま女性だっただけで、行動を通じてリーダーとして認識されました。こうした問題にジェンダーは無関係だと思います。もしも「闘う」のが男性の特権だと考えるなら、それはあまりにも愚かではありませんか。問題は、意志であり何が私たちにとって望ましいのか、それをどう実現するか、だと思います。

 

 もう、男だとか女だとかいうことはやめましょう。私たちには、何が普遍的に正しいのか、そのためにはどのような意思決定をしなければいけないのか、そういう問題を問われています。それに答えを出さない限り、私たちの未来が閉ざされる。そして、この3人は、私たちがどうしても否定できない課題を直球で突き付けています。私たちは、この問いかけに応えることを真剣に考える必要があると思います。

 

3人の活動については、ネット上にたくさんの情報があります。ご参照ください)