20190605 熊井泰明

 

内弁慶な男たちを窮地に追い込むには

 

 

 

 昭和女子大学理事長の坂東眞理子さんが、面白い数字を挙げていました。*1国連に勤務する日本人の割合が、男性316人に対して女性477人。坂東さんの指摘は、「日本人男性が海外に出るとおとなしくなって日本に帰りたがるのに、女性は活躍を始める」もちろん全員がそうだという訳ではありませんが、確かに話題の「Kon Mariさん」*をはじめ、海外のいろいろな分野で活躍する日本人女性が増えていることは感じます。

 

 どうも日本人男性は海外で活躍する日本人女性に偏見を持ちやすい。私が経験したなかでも、とても口に出せないような品格のない話も含め、悪質な、と言ってよい偏見が散見します。その理由を考えるに、日本という境界を自ら作り、そこから抜け出せない男たちの、もしかしたら嫉妬にも似た感情があるのかも知れません。

 

 それで思い出したのは、日本の生産性論議に鋭い発言を続ける小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏の指摘です。氏は著作に対してAmazonに掲載された「日本経済低迷の原因は女性が怠け者だから」という素人批評(評価は最高点)に対して、以下のように反論しています。*3日本では、1979年に男性の51.1%だった女性の給与水準が、2014年になっても52.9%にしかなってはいない。ところが、米国では同じ期間に62.3%から82.5%まで上昇した。日本人女性が怠けているのではなく、そもそも生産性の高い仕事に就く機会を奪われているからではないか。では、どうしたら女性が生産性の高い、あるいは付加価値の高い仕事で活躍する機会が得られるのか。それは、経営者の決断を待つのではなく、何らかの形で変化せざるをえないように経営者が窮地に追い込まれることではないか。

 

 現状、個人消費と企業の設備投資は停滞し、公共投資が経済を支えていることもはっきりとしつつあります。英国の合意なき離脱の可能性も高くなり、EU議会選挙でも各国の離脱派が力を得ています。米中貿易戦争は長引きそうですし、中東でもキナ臭い小競り合いが頻発しています。日本では日銀とGPIF(年金基金)による株買い支えが限界に来ており、政府が「老後は自己責任」と言い出しました。経団連会長とトヨタ社長は、終身雇用の維持は困難、との見解を出しています。短期的には赤字を計上する日本企業も増えており、今年は1万人以上の希望退職を募る必要があることも明らかになりつつあります。こういう形は望ましくないのですが、もしかしたら日本経済は「窮地」に追い込まれるかも知れません。

 

 ただ、それでも変わらなかったどうするか。堺屋太一のいう「第三の敗戦」を迎えてしまうのでしょうか。

 

*1 坂東眞理子「東大・上野祝辞に思う女子の現在」2019.5.27、東洋経済オンライン

 

*2 米国Netflix でも有名になったKon Mari こと片付けコンサルの近藤麻理恵さん

 

*3 デービッド・アトキンソン「なぜ日本は女性の生産性が極端に低いのか」2017.1.6

 

  東洋経済オンライン

 

熊井泰明