20191031 熊井泰明

 

北陸の芝生は青い-犠牲になっているものはないか?

 

 

 

 今はどうか分かりませんが、かつてスイスは日本人あこがれの国でした。良く考えもせず「永世中立国」というラベルに惹かれた面もあったと思います。でも現実はどうか。スイスはアルプスの貧しい国で、輸出出来るものは傭兵だった時代が続きました。今でもバチカンを守るのはスイス兵です。その結果、親子、兄弟が敵味方になって殺しあう時代がありました。そこで考えられたのが、ひとつは精密機械。機械を作るための機械工業です。もうひとつが金融。敵、味方双方のトップの人に言えないお金を預かれば誰もスイスを攻められません。どんな犯罪の結果であっても秘密を守って預金可能。最近では少々事情が変わってきましたが、ゴルゴ13もいまだにスイスに口座をお持ちのようです。

 

 同じように北欧神話も続いています。高福祉高負担のモデルですが、ただ北欧諸国は経済規模、人口ともに日本の1割程度です。だから福祉国家が可能である面も見過ごせません。ということを念頭に置きながら、書店で「富山は日本のスウェーデン」という妙なタイトルの本を見つけました。(井出英策、集英社新書2018)結構話題を呼んだ本だったらしいのですが私は初見でした。で、買っていないので立ち読みの範囲です。

 

 東洋経済新報社調査による「住みよさランキング」では、北陸3県の優位が目立ちます。そのポイントは「住宅の延床面積」で他は大きく変わりません。県内市全ての市がランクに入ったのは鳥取県でした。ところがGooの調査では鳥取県は46位(ブービー)でした。また「住みたい街」となると横浜が第一位、東京都世田谷区、港区、以下札幌市、福岡市と続きます。

 

 話を富山に戻します。実は富山はじめ北陸3県はこの手のランキングで上位の常連です。例えば2015年の文藝春秋は福井モデルを絶賛し、2012年の中小企業白書は「北陸地方におけるダブルインカムによる価値創造モデル」を提唱しています。言われてきたのは、「住宅」「女性の雇用」なのですが、ちょっと立ち止まって考える必要があるかと思います。

 

 まず経済構造。北陸3県は製造業主体の経済です。今回の一連の事件で、福井は「原発経済」と言えるかも知れません。確かに女性の就業率は高いのですが、女性の管専職の割合では都道府県ランキングで40位台を維持しています。つまり働く女性は多いのに、意思決定には関わっていない。もうお忘れかも知れませんが、政務活動費の不正受給で14人の議員が辞職したのは富山県でした。こういう話を総合すると、北陸の女性は困難な状況で下働きの状況で家事もこなして頑張っている、男たちはやりたい放題、ということなのでしょうか。

 

 申し上げた通り、私は「富山は…」を読み込んではおりません。ただ、概観した印象では、かつて提唱された「日本型福祉社会」、つまり女性が家事、育児、介護を黙って負担すれば日本は安泰、が答えのような気がします。(違ったら済みません)井出さんは富山ラブのようなのでこれは致し方ない点もあります。しかし私たちはもう一度原点に戻って数字の意味を考え、事実を検証することを忘れてはいけないと思います。