20190723 大砂雅子

 

地位の低い北陸の女性

 

 

 

 7月20日北陸中日新聞の一面トップ(※1)に、「働く女性 上がらぬ地位―共働き率石川全国4位。女性管理職は最低水準」がでました。 富山大非常勤講師の斉藤正美さん(社会学)は「北陸の女性の置かれた状況を端的に示す指標」と話す。第一子出産後も常勤で働く女性は全国平均で約七割だが、富山では約五割。「勤め先で物事の意思決定過程に参加できず、子どもを持つと、常勤から滑り落ちる割合が高い。女性の地位が低く、働きやすいとは言えない」とコメントしています。「物事の意思決定過程に参加できない」ということが、少女の私が金沢を出た理由ですが、それからその状態が45年も変わっていないことに愕然とします。

 

 この原因と理由は、我々の論文「女性活躍と地域経済―グローバル化の中、地方から若い女性が消える」(※2)に記載しています。理由の一つは我が国の産業構造にあり、もう一つは社会意識にあります。産業構造については、7月21日日本経済新聞の一面トップ(※3)に、「最低に張り付く賃金-打開のカギ、生産性向上」がありました。「日本の賃金分布に異変が起きている。最低賃金の引き上げにつれ、その水準に近い時給の人たちが増えた。人手不足の日本で多くの人が最低水準に張り付くのは、生産性が低い仕事が温存されたままだからだ。」と、人手不足が強まる日本では、自動化で企業の生産性を向上させ、人材をもっと付加価値の高い仕事に移動させる必要性を強調しています。これまで女性の労働を、家事・育児の片手間で、家計の補助とし、地方の製造業の現場やサービス・介護でパート労働として、一家の家計を支える男性の補助としか考えてこなかったことが、この生産性向上の伸びを押させています。地方は特に製造業の現場で、グローバル化の波が押し寄せ、低賃金で雇用の調整弁の役目を担ってきた女性たちが、共働きという形で、職場に登場したことが、北陸の共働き率上位を作り上げ、管理職が最低水準という現実を生み出しました。

 

 そして、7月21日北陸中日新聞(P26)には、「(石川県の)農業人口25年で6割減」という記事がありました。65歳以上の高齢者は、全国平均が63.5%のところ、石川県で73.4%とあり、安部首相が「地域経済の核は農林水産業」と強調し、人工知能(AI)を活用した生産性向上や所得補償、地産地消を提唱するも、農業が利益を生み出す産業構造になっていないことが問題視されます。アメリカの広大な大地とその収穫量を一度見てください。

 

 そしてもう一つの理由は社会の意識にあります。「女性はいずれ結婚して家庭に入る」から、「子育ては女性の責任」という意識が強くありませんか?それに静かに、未婚化・少子化という現実で、抵抗を始めた若い女性たちの現状を、自分の娘のこととして考えてみませんか?

 

※1:https://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2019072002100024.html

 

※2:http://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/Shiryo/2018ron15.pdf/$File/2018ron15.pdf

 

※3:https://www.nikkei.com/paper/morning/?b=20190721&d=0