20210724 熊井泰明・大砂雅子

多様な働き方と多様性は違うのです―石川県小松市が多様な働き方1位―

 

2021721日の日本経済新聞朝刊1面に多様な働き方、『10万人都市』上位占めるという記事がありました。日本経済新聞と東京大学は各種都市データを集計し、多様な働き方ができる特徴を点数化し順位をつけました。石川県小松市が1位になりました。トップ10の都市のほとんどが人口10万人台でしたが、45万人の金沢市が7位になっています。

コロナ流行前の201月時点で分析し公衆無線LANの整備状況通勤時間保育サービス利用率徒歩圏に生活関連施設がある人口比率地域内の経済循環率コロナ前後の昼間人口増減率住宅面積福祉施設の整備状況――8つを指標としています。これで仕事と生活を両立できる環境、地域の自立度を把握したとのこと。

 それに対して中村奈都子日本経済新聞社(編集委員)は、別の視点として、以下のコメントをしています。

「公衆無線LANの整備状況や通勤時間、保育サービス利用率などは今後、とても重要な要素になってきそうです。佐賀に移住した知人も「東京と比べネット環境がとてもよい」と話していました。 これまでも地方都市では人口減少への対応に力を入れていましたが、大きな問題は「若い女性が逃げていく」ことでした。男性は地元に戻っても女性は戻ってこない。「女性なんだから」といって伝統的な性別役割分業を求められる風土を嫌ってのことです。」

新型コロナ: 多様な働き方「10万人都市」に潜在力 首位は石川・小松: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 私の小松市の印象は、「駅前にビジネスホテルが乱立。大和デパートが贈答専門店になり、駅周辺は活気がない。そして人口減少がじわじわ、特に若い女性の流出が続く。仕事はコマツと関連企業で、経済を支えている。」です。この日経新聞の調査スタッフには女性がいなかったのでしょうか?若い女性の満足度調査か女性の流出率の順位も入れたら結果が変わっていたかもしれません。あるいはどの地方都市でも流出は当然で、増えているのは首都圏だけですから、ムダだったのでしょうか?今後30年の小松市の若い女性の流出予想は30%近く。能登地方の70%前後に比べたら大したことないかもしれません。多様な働き方ができると多様性がある都市は別のようです。(大砂)

 

 もう30年ほどの昔の話です。ある米国企業の年金運用に携わっていました。オフィスはニューヨークの郊外です。同僚の女性が結婚、妊娠しました。まず驚いたのは、出産予定日1週間前まで仕事をしていたこと。もっと驚いたのは、出産1週間後には乳母車を押して出勤していたこと。特殊な業務ですから個室の執務室があります。彼女の部屋に入室する誰もが赤ちゃんにも挨拶をする。私も“How are you beauty?” (女の子でした)なんて言いながら仕事の打ち合わせをする。ちょっとお洒落で素敵ではないですか。

 

子連れの五輪大会

 そんなことを思い出したのは、まずテニスのウィリアムズが「子供を同伴出来ないなら、オリンピックには参加しない」と宣言したこと。次に、カナダのバスケットボール代表ゴーシェ選手が生後3か月の娘同伴を認められたこと。「認められた」という表現自体、違和感がありますが、ともかく良かった。そうです、「子供を預けるのが当然」という都市の論理を忘れて「同伴で良いじゃないか」にすれば良いのです。日本のオフィスは異常に過密ですから、それが難しいなら子供のためのスペースを作れば良い。いやあ、正直なところ、日本のオフィススペースって無駄だらけですよ。担当者の手当ては難しいとしても、育児の空間くらいいくらでもひねり出せます。

 

地方都市の企業こそ取り組むことが可能では

 

 ただ、首都圏などでは通勤という問題が残ります。あの過密な電車と過酷な駅のアップダウンは子連れには厳し過ぎます。それなら地方都市の企業が始めれば良い。車通勤なら、それこそ乳母車を乗せてでも通勤できるでしょう。パートナーも同じ地域で勤務しているなら、日替わりで担当するなり方法はいくらでもあります。ここで首都圏や大都市にはない利点が際立つはずです。企業として取り組めばESGの評価が跳ね上がり、優秀な若者が殺到しますよ。だれか本気で取り組んでくれませんか。(熊井)