20200909 熊井泰明

 

大坂なおみの選択―全米オープンベスト4入りー

 

 

 

 大坂なおみが米国の人種差別に抗議して大会を棄権(大会委員会が抗議を入れて日程をずらしたことで和解)、その後の全米オープンでもTシャツやマスクで抗議を続けています。別にルール違反をしたわけではなく、彼女に出来る表現を実践したわけです。ところが、例によって国内ネットの一部が「スポーツに政治を持ち込んだ」と騒いでいるようです。日本だけの話ですし、「誰が」ということは分かりませんので、この背景について思うことを。

 

 どんなスポーツも純粋に個人的なものだと思います。最近ではゴールと共に国旗を背負うことが珍しくなくなりましたが、いつから選手は国を背負うことになったのでしょうか。それこそが「政治的」ではないのか。というか、そんなことを考えたこともない人が多いのだと思います。

 

 現職の米国大統領が出て以来、社会を分断して敵を作ることが一般化してしまいました。新型コロナ・ウイルスをめぐる「自粛警察」騒動もその一環でしょう。もうひとつ懸念するのは、彼女がメンタルでも日本人離れしていることに対する反感があるかも知れないことです。この国ではメンタルに「日本人になった」(ことを演じているだけかも知れませんが)外国人には異常に寛容ですが、メンタルが異なると異様に卑屈になるか、見下すかのどちらかです。彼女は法的には日本人ですが、価値基準は違うように思います。いろいろな種目で国際的に活躍する多くの日本人選手にも同じことが言えるでしょう。私たちはそうした新しい日本人とも向き合う必要があると思います。

 

 その昔、米国人の友人が「人種差別というのは、外見が異なるという最も単純な違いがあるのに、同じ人間であることを認めなければいけないという苛立ち」と話していたことがあります。私も有色人種として足掛け8年米国で生活したので、彼のいう意味は分かります。多様性を受け入れるには、本当に大変な困難を乗り越える必要がありそうです。