20190704 大砂雅子

 

「完璧家事亡国論」

 

 

 

「『家事のしすぎ』が日本を滅ぼす」(作者:佐光紀子)を読みました。この本の第一部の「完璧家事亡国論」は目からウロコでした。

 

かつて1960年前後に「女子大生亡国論」というのがありました。私の生まれた直後ですが、私の母校の大学教授たちが言い出したものです。これは女性が社会に出てもいずれ家庭に入るのに、入学時に成績の良かった女性が、入学して、将来ある男子学生のチャンスを奪い、日本を滅ぼす。という理屈です。今でもそう思っている日本人がたくさんいます。その証拠に、昨年の東京医科大学の女子受験生差別で、多くの同様の事例が話題になりました。

 

今でも、女性の登用が進んでいない大半の企業の男性幹部に、「なぜ女性の管理職がいないのか?」と質問すると、「女性がなりたがらない。女性は家事・育児との両立ができない。」とのことです。その解決策としては、多様性のある職場環境と、なりたい管理職像を提供していないなら、「働き方改革の実現と自身が理想の管理職になれば?」というのが第一。そして、「家事・育児が女性だけの役割という意識を変える」のが第二。そして「家事・育児そのものを減らせばよい」が、第三です。しかし育児を減らす=少子化。になってはいけません。女性の人権を無視した「女子大生亡国論」という憶測通りに、女性の高学歴化が日本民族減少を引き起こしたわけではなく、日本では女性の地位向上・社会進出を阻害したために経済成長が遅れていることを、IMFクリスティーヌ・ラガルド専務理事(次期EU中銀総裁)も10年近く前から指摘しています。

 

日本の家事(炊事・洗濯・掃除等)の家電製品、便利グッズや調味料、加工食品の技術は、世界を席巻しました。今でも外国人が日本に来て、買いあさっています。すでにかなりのコピー商品を作って、中国や韓国が安価なもので市場拡大を実現しました。この背景には日本の専業主婦が、消費の決定権を握ってきたことにあり、その市場を狙って、日本企業が研究開発を続けてきたことにあります。私が駐在したシンガポールやソウルでも、「日本製はなんて、気が利いているのだろう」と、感心しました。

 

しかしながら、女性たちが男性と同じ教育を受けた挙句に、家に閉じ込められて、家族の世話だけで人生が終わっていいはずがありません。家事を完璧にすることが女性としての優劣を決めてはいけないのです。家庭は、家族が維持すべきもので、自分のことは自分で責任を持つのが基本です。幼いこどもが大人になっていくための基本を身に付けさせる場所です。夫は自分のことは自分でやり、妻がしてくれていることは、過剰なサービスとの認識を持つべきです。社会も、子供の問題は母親の育て方だけに責任を押し付けてはいけません。そして多種多様なサービス・商品に踊らされることなく、しない家事・手抜き家事といきましょう。

 

ただし、この本にもありましたが「断捨離」が趣味になるのはよくないです。私も常々冗談で言っていますが、「一番、断捨離したいのは、夫」ということもありますから。