20211018 熊井泰明・大砂雅子

悪い円安と日本経済-モノの値段が安いことを喜んではいられない-

 

総選挙での経済対策効果、ワクチン接種率増加、企業決算の情報修正など、株価も上がり日本経済も浮揚するはずが、なぜか期待薄。日本の平均給与は30年間横ばい、インフレを経験したことない世代が増加。年金と貯蓄で生きる高齢者にはいいかもしれませんが、欧米先進国の成長から遅れてしまった日本。ノーベル賞を受賞した真鍋先生が指摘したように、日本には付加価値を生む土壌が育たたなくなってしまった。そして円安が輸出底上げ効果より、資源高を招き、これから冬に向けて、さらに上昇しそう。唯一の救いは、今まで付加価値を生みだすより、家事・育児は女の役目と言われ、十分な能力を発揮できなかった女性たちが温存されてきたけど、皮肉にもいよいよ力を発揮できる時代が来たかも。世の中の動きに目を見開いて行きましょう。(大砂)

 

東京にブルックリンの有名なステーキハウスがオープンしました。時価となっていますが、報道ではステーキ代金11,000円(税込、サービス料別)。本店価格は同54.95ドルで、税込(おそらく8.25%)約60ドル。1ドル114円で約7,000円。なぜ東京では高いのか。円に価値がないからです。

実質的な円安はもっと進んでいる

15日、円がほぼ3年ぶりに1ドル114円を付けました。しかし、これは市場レートの話で、以前にも取り上げましたが、円の実質的価値は数十年前のレベルまで落ちています。そこまで行かなくても、今年7月に英エコノミスト誌が試算した円の価値は1ドル164円、冒頭のステーキでは1ドル183円になります。企業決算の換算レートのせいで、日本人は円安を喜ぶ傾向にありますが、すでにガソリンはリッター160円を超え、各種食料品も大幅値上がりしています。仙台の牛タン定食は一気に2割から3割上がりました。企業も輸送費など思わぬコスト高に戸惑っているようです。

円安が鬼門になる可能性も

 

為替レートがどう決まるかですが、一番簡単なのは「購買力平価」という考え方で、米国で1ドルのものが日本で100円なら1ドル100円。あるいは、水準を決めるのが難しいのですが、金利の高い国の通貨は高くなります。これが今起こっていることで、世界中が金融正常化(金利上昇傾向)の中で、日本はゼロ金利を修正できません。日本でまともに金利が上昇したら企業は倒産、日銀も財政も破綻です。そういう中で、供給ショックが起こりました。原油価格は今年5割上がり、天然ガスも史上最高値です。北半球が冬になるとさらに値上がりするのがこれまでの常ですから、先行き油断出来ません。先進国では日本の賃金は最低レベル。賃上げできない状況で生活必需品が値上がりしたら。今のうちに生活を見直して引き締めることをお勧めします。1万円を超えるステーキなど無視して。(熊井)