20190925 大砂雅子・熊井泰明

 

日本にも欲しい「坐月子(ズオユエズ:産後ケア)

 

 

 

924日、三つ子を育てていた母親が産後うつで、次男を殺した事件の判決がでました。「子供は社会全体で育てるもの」との認識のない日本の社会意識の変革が急務です。

 

3月末に長男の嫁が金沢で出産しました。彼女は台湾の女性で、産院を1週間で退院し、息子と住むアパートに帰るというのを、私の家に連れ帰りました。台湾の両親は出産後、1か月経過して来日しました。私は長女の出産時に1か月、娘と孫の世話をしたことがありますが、嫁は日本語が堪能ながら、習慣もわからず、互いにぎこちない毎日だったかもしれません。本人は産後の大変さは初体験。赤ん坊がすぐに泣きだすので、寝る暇もなく、自分の体調の回復もしながら、家事と育児ができるはずがありません。台湾では、坐月子(ズオユエズ:産後ケア)という習慣があり、産後ケアセンターに1か月程度入ります。アジア圏のこの施設は、駐在員や国際結婚の日本人にも評判です。(大砂)

 

最近、新聞などでやたらと目につくのが介護施設の広告です。高齢者が増えるなかで当然と言えば当然なのですが、ではその他の世代に対してはどうでしょうか。次に手厚いのは、多分、進学塾産業でしょう。しかし、実は日本の大学進学率はOECD平均より10ポイントほど低く、大学院進学率とGDPに対する教育予算水準は先進国でも最低水準です。

 

ここで気を付けなければいけないのは、これらの問題に対する政府の無関心さです。都会の場合、民間介護施設は一時金数百万円から数千万円、毎月25万円程度がかかります。公的施設は常に待機が200人程度いて、順番はなかなか回って来ません。介護は地方公共団体に任されており、どこも予算不足に苦しんでいます。その結果がこれです。

 

そういう問題が山積している中で、敢えて提案したいビジネスがあります。それが「坐月子」です。これは中華圏の例ですが、要は出産したばかりの女性が生活する場の提供です。ホテルや旅館の長期滞在を考えれば良いでしょう。赤ちゃんのケアを学び、24時間の見守りがあります。かつては実母のいる「家」がその場であったのでしょうが、今の「家」では新米母は休めません。ですから、新米母の学びと休息の場を提供するのです。退所後でも、アドバイザーとしてサービスも提供して良いでしょう。

 

少子高齢化対策として公的にやるべき、という声があるかも知れませんが、私はあえてビジネスとして提案したいと思います。大量の規制をかけて公的にやろうとすれば、まず官僚の天下り先として目を付けられます。さらに、介護現場で起こっているように、オーナーの懐にだけ税金が落ちて、現場で働く人は低賃金で過酷な労働を強いられることになりかねません。多くのゾンビ企業が生き延び、利用者と働く人が切り捨てられているのが現在の介護の実態です。ビジネスなら、質が悪く人材が集まらないところは撤退せざるを得ません。自然淘汰です。

 

多分、相当な資金がかかりますし、利用料金も決して安くは出来ないかも知れません。しかし、求められるビジネスとして検討に値するように思います。いかがでしょうか。(熊井)