20211129 熊井泰明/大砂雅子

現金給付だけで日本は変われるのか?

-私たちはマトリクスの中で生きているかも知れない-

 

 あれ?オミクロン株発生で、世界的に株価暴落。原材料費高騰もあり、ますます経済情勢が混沌としてきました。世間の話題は現金給付です。これだけで経済が好転し上向くのでしょうか?国民の大半が信じられなくなっています。環境問題を考えたら所得倍層の経済発展はありえません。私たちの孫のためにどんな日本を残したいですか?(大砂)

 

 ご存知ない方のためにマトリクス(1999年)というSF映画について。実は人類はマトリクスという超絶AIのエネルギー供給源として飼育されており、それに気付かせないために甘い現実の夢を見せられている。つまり、世界は仮想現実で、実際は暗闇の荒涼とした世界が広がっている。それに気付いた少数の人間がマトリクスに反旗を翻し、壮絶な戦いが始まる。と、まあSFに慣れていないと大変分かりにくい話なのですが、今年第4部が作られるほどのヒット作になりました。

 

出来れば考えたくない現実

 現実。日本の社会保障給付(年金、医療、介護:2019年)の総額は約124兆円。これを65歳以上の人口で割ると1人当たり350万円、夫婦2人なら700万円弱。(2人以上の勤労世帯収入580万円)過去20年間に65歳以上人口は6割増加。しかし労働人口(1564歳)は13%減少。つまり勤労者の社会保障負担(社会保険料は半額企業負担)は2倍近くになっています。これが、給料が上がらず手取りが増えない大きな理由です。少子高齢化は加速していますから、状況が改善する見込みはなく、次世代にはもっと絶望的な未来が待っています。対策は負担増と給付減の組み合わせしか見当たりません。

 

もっと考えたくない未来

 

 今回の衆議院選挙では、どの党も給付の話はしても財源については口を閉ざしていました。与党にも野党にも対策らしきものはありません。負担増と給付減は選挙では口に出せないでしょう。今回も年代が低くなるほど与党支持が高まる傾向が見られます。理由は、おそらく、少なくとも現状維持で行って欲しいからだと思います。改革に手を染めれば火傷する。それよりはゆっくりと茹で蛙になったほうが痛みは先送りできる。ただ、火傷は治りますが、茹で蛙は確実に死にます。いつまでもマトリクスで眠ることは許されないのですが、おそらく政治は動かないでしょう。さあ、どうしましょうか。(熊井)