20200203 熊井泰明

 

結婚をめぐる下品な野次について考える

 

 

 

 「男と女、人生最良の日々」という映画を観て来ました。(131日公開)1966年にカンヌ・グランプリを得た「男と女」という映画の続編ですが、66年のスタッフ、俳優が全員そのまま齢を重ねて同じ役で出演しているという奇跡的な映画です。美しい映画ですが、改めて恋とはファンタジーであり、しかし死ぬまで残る大きな痕跡を残すものだと思い知らされる、恋をしたことのある人には痛すぎる映画だと思います。

 

 恋のゴールが結婚なのかどうか分かりませんが、最近結婚をめぐる妙な紛糾がありました。例の国会の野次です。詳細や、誰が、というような些末なことはさておき、コラムニストの小田嶋隆氏が選択的夫婦別姓について興味深い数字を紹介していました。(124日付日経ビジネス電子版「人の結婚に介入したがる彼らは何者なんだ?」)

 

 法務省の《選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について》「選択的夫婦別氏制度に関する調査結果の推移(総数比較)」(2017)という調査資料によると、「必ず同姓でなければ」という人は29.3%、「民法を変えて選択的夫婦別氏制度を認めても良い」は42.5%となっています。また、1829歳では50.2%、2939歳では52.5%が選択的夫婦別氏制度(への民法改正)に賛成と答えています。

 

 誤解も多々あるようですが、「選択的」とは必ず別々でなければいけないのではなく、選びたい人は別姓でもかまいませんよ、という話です。ですから民法が改正されても、多分、8割がたのカップルは同姓を選ぶかも知れません。しかし、私は、仕事や家族の関係などで変えたくない人、あるいは国際結婚で変えたくない人は変えなくても良い、という制度は正当だと思います。

 

 私の友人知人で仕事を持っている女性の多くは、元の姓を名乗っています。それを許さないという偏屈な会社もあるようですが、通称としてはそのままです。夫婦同姓にこだわる方々は日本の伝統というような「ご飯論法」の言い方を押し付けることもありますが、日本の戸籍法成立は1871年ですから149年の「伝統」ということになります。民法を変えるべきかどうか、合理的な答えは明白だと思いますがいかがでしょうか。

 

 これは制度や法律の問題ではなく、個人の自由を尊重するか、全体に合わせることを良しとするか、という感情の問題なのかも知れません。小田嶋氏も指摘していますが、要は他人が自分とは違う勝手なことをやることは許せん、ということでしょう。合理的に解決できないだけにやっかいな問題です。俳優の不倫問題に群がる輩と同じようないやな臭いを感じます。

 

 こうした問題の背後にあるのは、「私は私、あなたはあなた」を支持するか、「おまえは正統から外れているから許せん」とするかの葛藤です。世界は後者に傾きつつあります。その正統が、この国では「女は家で家事、育児、介護」という価値観だと思います。

 

 野次はどうでも良いのですが、こういう下品な発言が政権政党から出てもそれをどうすることも出来ないという状況は何とかすべきだとは思いませんか。