20190715   熊井泰明、大砂雅子

 

追悼:吉田晴乃さんが残した「女性活躍」

 

 

 

 吉田晴乃さんが630日に心不全で亡くなりました(55歳)。亡くなる前日のG20大阪サミット特別イベントでは、渾身の演説を担当された(全文は日経ARIAで公開されています)とのことですから、全く突然の訃報としか言いようがありません。

 

 あまりご存知のない方のため、吉田さんについて少しご紹介させて頂きます。BTジャパンCEO、初の女性経団連審議員会副議長、規制改革推進会議委員などの重責を歴任し、2017年にはフォーチュン誌が選ぶWorld's Greatest Leaders 50の一人に日本人としてただ一人選出されたこともあります。経営者としては、いろいろな事情や状況を抱えた社員が活躍できる会社を、という主張をされて来たことでも知られています。

 

 こう書くと、何か順風満帆で来た方のように見えますが、大学卒業のスタート時点から大病やいろいろな問題に直面し、それを乗り越えて圧倒的なキャリアを築いてきた方です。モトローラ日本法人、カナダの通信会社、NNTコミュニケーションズなどでキャリアを磨きました。カナダ人との離婚後にはシングルマザーとして子育てにも邁進し、「娘世代が私たち世代と同じ苦労をしなくて済むように女性活躍を進めたい」という視点から、女性活躍の場を広げることにも力を注いでこられました。「100%の力を、母親、CEO、経団連役員、政府委員の4等分すれば良いかというと、それぞれに100%が求められ、これまでの400%の力を発揮しなければなりません」と言い切る方ですから、もしかしたら激務で燃え尽きてしまったのかも知れません。

 

 一度だけ同席したことがありますが、隙のないスーツに高いヒールの靴で会議室に登場すると、出席者が思わず起立して迎えた光景を覚えています。圧倒的かつ不思議な存在感を持つ方でもありました。(熊井)

 

写真で拝見しただけですが、日本人離れした美貌と威圧感のあるお姿を見ると、この日本社会で女性がトップに上り詰めるには、このような方でないと無理だと感じさせるものがありました。次に続く世代は、普通の女性たちにも男性と同様のチャンスがあってほしいものです。たぶん、吉田さんもそれを望んでいたことでしょう。(大砂)

 

まだまだリーダーとして活躍して頂きたかった方だけに、突然の訃報は残念としか言いようがありません。

 

 「花粉(Le Pollen)」(作詞 ピエール・バルー、作曲 高橋幸弘)という曲をご存知の方はほとんどおられないでしょう。「私たちは過去の人々から花粉を受け継いで花を咲かせ、次の人々に残していく」という歌なのですが、昨年から訃報が相次ぐ中でなかなか染みる内容になっています。

 

私たちは吉田さんの残した「花粉」を花開かせ、次世代に送る義務があると思います。

 

 心からご冥福をお祈りいたします。