第一子誕生とともに起業・学生・家事・育児開始した夫

―現在、妻はハノイに赴任中―

 

30歳になってすぐ、第一子の出産を機にスイッチが入ってしまい、当時勤めていた会社を辞め、学生をしながら起業しました。私が学生、妻が会社勤めでしたので、家事や育児は必然的に時間の融通がきく私の担う役割が大きくなりました。思い返すと、子供を起こし、着替えて、朝ごはんを作り、保育園に送り出し、そのまま自分は学校に行き、途中で抜けて保育園に迎えに行き、夜ご飯を作り一緒に食べ、お風呂に入れて、歯を磨き、遊んだり絵本を読んで寝かしつけ、その後に勉強をしたり、教科書を手に一緒に寝落ちしたり、仕事はパソコンを持ち歩いて隙間時間にするような、目の回る日々でした。

子どもを抱っこして交通機関に乗りますと、泣き出して冷たい目で見られ世間の冷たさを感じたり、逆に席を譲っていただき世間の温かさも感じたり、オムツを換えたりミルクを作れる場所を探したりなど、育児に関することは一通り経験したと思います。学生時代に一人暮らしをしていたため、料理や掃除には抵抗がありませんでした。しかし育児は全くの未知の世界。子供はこちらの都合で育ってはくれません。子供が一緒の生活というのも最初は慣れないことの連続で、忙しすぎて今も当時の記憶があまりありません。

ごく普通の昭和の家庭に育ちましたので、「男は仕事で女が家事」という価値観を、知らないうちに持っていたと思います。親からも「自分達の世代からは考えられない生活や働き方をしている」と言われます。同世代(40代後半)を見ても私のような生き方をしている人はまだまだ少なそうですが、今はバギーを押しながら街を歩く背広姿の男性も見るようになりましたので、徐々に変わってきたでしょうか。子供が小さい時は本当に修羅場の連続でしたが、あっという間に時は過ぎ、気がつくと長女が高校3年生、次女が中学1年生となり、子供たちも自分で自分のことができるようになり、心の余裕もできました。

育児家事を通して得られたことは多くありますが、仕事に直結していることが幾つあります。効果効率の観点からは、時間の使い方のメリハリがつき、限られた時間の中でなすべきことが明確になりましたし、同時並行で様々なことを進める癖ができました。創造性や課題解決の観点からは、昼間に地域社会を歩き、子どもの目線で動くことで、それまで見えていなかったものが見えるようになりました。これまでの社会は隅々まで健康な成人男性に便利なように出来ているようです。

現在は妻が次女と共にベトナム・ハノイに赴任しており、私は長女と共に日本でワンオペ生活。そして、人間性が重視される時代へと価値の転換を図るための調査、研究、コンサルティング、地域活性化をする株式会社クロス・ディメンション代表取締役。そして、伝統、文化、芸術、人文学など「人文知」が日本社会で広く生かされるよう応援活動を展開する一般社団法人人文知応援フォーラム東京事務局長をしています。第一子誕生とともに起業・学生・家事・育児開始した人生がここにつながっています。妻と子供たちに感謝しつつ、自分を褒めてあげたい。

 

黒須悟士