―ガネーシャの憂鬱― 20201012

金融講座48 働かなくてもお金が貰える―ベーシック・インカムとは何だ

 

 突然、またベーシック・インカムの議論が再燃しています。竹中平蔵さんが再登場して世間が騒がしくなりました。AIが仕事を奪うようになって、エッセンシャルワーカーが形を変え、人間しかできない仕事だけが残るようになると、ロボットやITに働かせて、大半の人間はベーシック・インカムで生活する未来が来るのでしょうか?「額に汗して働く喜び」という言葉が昔あった時代がやって来るのでしょうか?(大砂)

 

いろいろな考え方があるので、ここでは単純化して考えます。ベーシック・インカムとは、無条件で国民全員(個人)に一定額を支給することです。年金も社会保障も生活保護もこれに統一されます。でも、金持ちや高給取りにも支給する?なるべく簡便化するために支給して、後は確定申告による総合課税で税金として返還させます。

 そんな面倒な、と思われるかも知れませんが、これで膨大な社会保障や年金関連の業務はなくなります。いくらかかるの、という点についても試算によると、日本国民全員に月5万円なら払える、という結果が出ています。これは国民年金満額受け取りに近いので、まあ妥当な水準かも知れません。(ただし、これらの試算は膨大な財政赤字を前提としているので、大増税を伴う可能性があり、個人的には持続性はないと考えています)

 実は、まだこの考えが実現した例はありません。スイスでは国民投票で否決されました。オランダ、フィンランドなどでは実験的に導入するかも知れません。究極のセーフティネットかも知れませんが、劇薬でもあります。そうでなくても生活保護に対してすら異常かつ執拗な嫌がらせが続く日本では、そう簡単には導入出来ないでしょう。

 経済格差はもはや国家の危機、社会の崩壊を招きかねないところに来ています。新型コロナウイルスによる社会構造の変動は、これをさらに加速させるでしょう。ベーシック・インカムが答えかは分かりません。しかし、なんらかの形で多くの国民を貧困から救うことが求められていることも確かだと思います。多くの国民の貧困を、自己責任や自助で片づけられる段階ではありません。公助の出番です。(熊井)

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