―ガネーシャの憂鬱― 20190611

 

なぜ、あなたは投資に失敗するのか

 

 

 

 私たちが投棄したプラスチックによって、多数の海洋生物が危機に陥っています。この場合、個々の生物がどんなに生き延びようと努力しても、彼らがプラスチックから逃れることは出来ません。

 

 実は、多くの個人投資家はこの海洋生物と同じ状況に立っているのです。例えば、現時点で世界を代表する企業にGAFA(ガーファ:グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)*1があります。個々の企業は独自のビジネスモデルを持ち、優秀な人材を集めています。ただ、それもインターネットの進歩という大きな波に乗ったからです。個々の企業の特質(これをアルファ要因と呼びます)はもちろん重要ですが、全体の流れ(これをベータ要因と呼びます)に支配されていることを忘れてはいけません。どんなに優秀な船でも、凪なら性能を発揮出来ても大きな嵐の中では沈没の危機にさらされます。

 

 ところが、多くの個人投資家は、テーマ性や、極論すれば「流行り」にのろうとします。この手法は、最初に動いた一握りの人あるいは機関投資家が高値で売却して終わります。

 

これは株式でも債券でも商品でも為替でも同じです。「森ではない、木を見る」という人がいますが、専門的な分析抜きでは個々の木、つまり企業の良しあしは分かりません。

 

 「でも、現状では株式市場は堅調だろう」という人もいます。なぜ、株価は上昇したのでしょうか。それは日米とも中央銀行が信じられない額のマネー*2をばらまいたからです。日本経済の規模は約500兆円です。つまり、この経済を動かすには500兆円+のマネーがあればよい。そこへ100兆円のマネーをばらまけばどうなるか。余ったお金は投機に回ります。一種のギャンブルなのですが、日本のギャンブラーは胴元の日銀と、私たちの大切な年金基金を注ぎ込んでいるGPIF*3です。日本の上場企業の半数近くの筆頭株主が日銀、ということは日本企業にはガバナンス(統治)が効かない、という状態です。私たちは30年前にこの愚をバブルとして経験していますが、何も学ばなかったようです。

 

 では、現金をため込んでおけば良いのでしょうか。デフレ*4が続く限り、現金が一番強いのは確かです。しかし、永遠にデフレは続かないでしょう。極端なインフレも全く可能性がないわけではない。割合は個々の条件で異なりますが、現金、国内外の債券や株式などに分散するのが王道です。例えば、NYダウは過去100年でみれば順調に上昇しています。

 

 日本は少子高齢化で衰退が目に見えています。昨今では、大企業が巨額の赤字を計上しています。そうした全体の流れを見て冷静な判断が必要でしょう。一発当てようと思うと、サドンデスの可能性も大きくなります。あと、金融機関の言うことは信じないことでしょうか。

 

 

 

*1 グーグルはアルファベットという社名に変わりました。

 

*2 現金以外に即換金できる証券などを含むため、まとめてマネーと呼んでいます。

 

*3 年金積立金管理運用独立行政法人

 

*4 物価が下落するのがデフレ、上昇するのがインフレ

 

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