―ガネーシャの憂鬱― 20190624

 

ジョイントファイリングという考え方

 

 

 

 アマゾンの創業者、ジェフ・ベゾフ氏が離婚するにあたり、資産の半分約4兆円を配偶者であるマッケンジーさんに渡すという報道がありました(その半分以上は、慈善事業に寄付するそうです)。離婚の理由は定かではありませんが、長期にわたって別居してきましたから、時間の問題だったのでしょう。

 

 ここで考えてしまったのは、渡された資産4兆円の意味です。どうも我々の頭の中には「慰謝料」という文字が浮かぶのですが、しかしマッケンジーさん自身は小説家ですし、現時点ではどちらかに「好きな人が出来たので」という訳でも、もちろんDVでもなさそうです。米国に居た時に聞いた話では、もちろんトランプ氏のように浮気しまくりというのもありますが、「今、自分が幸福でないのは、配偶者を間違えたからだ」という、不思議な理由が原因になることが多いようです。日本式にいうと「性格の不一致」ですが、米国人は最初から性格が一致することなどない、それでも一緒にいたいか、という判断基準ですから、つまり一緒にいる理由がなくなった、ということでしょう。

 

 ベゾフ氏に戻ります。資産を半分に分けた理由は、資産を築いたのは2人の共同作業の結果、という考え方に基づきます。米国に専業主婦がいないかというと、そんなことはありません。だいたい、4家族に1軒程度だと思います。そういう夫婦が納税するときどうするか。ジョイントファイリング(連名申告)という方法があります。日本人は手取りが給与だと勘違いすることが多いですが、米国では全員が日本でいう確定申告を行います。これをTax filingといいます。一度でも怠ると一生たたりますので(米国では脱税は刑務所行きになることがあります)米国人は懸命です。そのとき、配偶者に収入がない場合には、2人で得た収入ということでJoint filing という連名申告を選択します。各種控除も全て2人分です。米国では年金は個人の拠出額によって決まりますから、年金も最初から分割になります。

 

 日本では、専業主婦の第3号被保険者が問題視されていますが、「給与所得者が主、配偶者は従」、という原則を捨てれば、実はかなりの問題が改善されます。もっと具体的に言えば、「おれの稼いだ金はおれのものだ。養ってやっているのだから黙っていろ」というオヤジ的発想はなくならざるを得ない。もっとも、それが日本的美風と意図的に誤解するオヤジが大量発生している状況では、変化に合わないサビついた制度を変えるのは容易ではありません。個人的には破綻するまで無理かもしれない、とすら思います。

 

 もちろん、2人が別々の仕事を持って収入を得ている場合には、基本的には独立採算ですから問題はありません。しかし、一方だけが収入を得ている場合には、主婦労働の価値はいくら、なんて考える前に、2人で稼いだのだから、ということで、制度も考え方も変えてはどうでしょうか。

 

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