-ガネーシャの憂鬱―

 

「大丈夫だよ」の金融講座.1

 

 

 

老後の心配なんてするだけムダです

 

 世を騒がせる「年金だけでは不足」問題ですが、もうそろそろいい加減なヨタ話に振り回されるのはやめにしましょう。なぜか。あなたが高齢者になったとき、日本の状況はかなり変わってしまい、現時点での予測なんて全くあてになりません。確かなことは、日本人の人口構成。でも、今年から実質的に移民を受け入れているので、将来の日本の姿はかなり変わっていると思います。そういう前提で、でも変わらないであろう基本についてだけ、考えてみたいと思います。

 

平均で考えてはいけない

 

 平均ってなんでしょうか。「計算の仕方なら分かる」という方は多いでしょう。平均とは、ある条件1のもとでその集団を代表する数値です。クラスの平均身長なら、その周辺の人数が一番多く、高い人、低い人はだんだんと数が減っていく。

 

1 サンプルがランダムに選ばれ、かつ正規分布していること

 

 その前提で行くと、世の中のだいたいの数字の平均はあてになりません。「Aさんの年収は1億円、Bさんは100万円で、平均は5,050万円」おかしいでしょう?単身者の平均貯蓄は822万円だそうです。え、そんなに持ってないよ、という人のほうが多いはずです。実は単身者の半数は貯金が100万円未満なのです。2つまり、「わずかなお金持ちは持っているが、大多数はほんど持っていない」というのが正解です。

 

2 金融広報中央委員会(知るぽると)

 

 「足りない年金」問題が取り上げているのは、実際には存在しない昭和のモデル家庭の話です。私にもあなたにも当てはまりません。しかも、現在の政府によって導入されているマクロ経済スライドという制度のもとでは、年金支給額は減り、各種保険料の天引き額は増加することが決まっています。給料は過去20年間で約10%減りましたが、税金や保険料を引かれた可処分所得は約25%減っています。同じことが年金にも続いていきます。

 

 ですから、年金の受け取り予想額も、家計予想支出額も考えてもムダです。1965年の大卒初任給(国家公務員)は21,600円、そば1杯は35円でした。50年後、それは10倍になっています。平成の30年間、日本はほとんど成長しませんでしたが、こういう例外的な期間を除き、長期間で経済状況が変わらないことはあまりありません。

 

 大切なことは、一人一人が自分の人生をどう生きるかをデザインすることです。それが決まれば、おのずとお金の問題はついてきます。状況が変わったら調整すれば良いだけです。例えば、あなたが35才未満なら貯金する前に自分を磨くことにお金を使ったほうが良い。それが将来、あなたに良い結果をもたらすでしょう。でも、引退までのカウントダウンが始まっている50代なら、全く別の設計をしなければなりません。次は、年代ごとの「ライフステージ」について考えてみましょう。

 

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