―ガネーシャの憂鬱― 20190815

 

金融講座.11「生活を守るためにもキャッシュに強くなる」

 

 

 

 まず、収入、支出という考え方を改め、キャッシュ・イン、キャッシュ・アウトという考えを導入して下さい。例えば、年金が毎月夫婦で22万円としましょう。(計算モデルは夫婦2人家庭を想定しますが、保険料は個人の合計で計算しています)しかし、ここから国民健康保険料(2人で約2.5万円)、介護保険料(2人で約1.4万円)を払わなければなりません。この水準では、おそらく現在のところ所得税や住民税はかからないと思います。ここまで、22万円-4万円=18万円がキャッシュ・イン、つまり手取りになります。

 

 次に、消費支出(食費、光熱費など)を約7割とすると12.6万円。消費税が、今のところ、1.2万円となります。住居費(固定資産税含む)が、持ち家で2.5万円。残りは1.7万円。これで医療費や衣服費を出さなければなりません。つまり、5万円足りない、の根拠はここにあります。この先の見通しを考えると、年金額は「マクロ経済スライド」で減額されます。税金、社会保険料は増えますし、消費税については、特に国際機関などの試算では20%代半ばに上げる必要がある(それを前提に、日本の信用が崩れていない)とされています。という訳で、引退家庭がキャッシュ不足になることは必至です。これに預貯金の取り崩しで対抗しようとすると、100歳まで生きるとして、5万円×12か月×35年間=2,100万円不足する、という話です。

 

 もうお分かりですね。問題は、社会保険料の上昇と、税控除の引き下げ(=手取りの減少)で、手取りが大幅に減少していることにあります。マクロ経済スライドが発動されたことは、過去2回しかありませんが、これからは常態化して行くと思われます。しかも、消費税は大幅に引き上げていかないと財政は破綻の懸念があります。こういう条件のもとで、私たちは生きていかなければなりません。

 

 こういう話をすると「それは平均であって実態ではない」という人がいます。では実態はどうでしょうか。以上の話はいわゆるサラリーマン家庭であって、フリーランスの人や自営業の方は基礎年金月額6万円弱しか受け取れません。2017年度末時点で、こういう人が1,575万人います。これに対し厚生年金被保険者(夫婦)は5,155万人です。つまり、5万円足りない人と20万円足りない*人の割合は3.31になります。これを加重平均すると日本の引退後全家庭の毎月不足額は9.5万円になります。平均ではこういうことです。

 

*サラリーマンの妻は第3号被保険者として合算しています。また、基礎年金だけだと年金保険料は少なくなりますので、手取りは約1.5万円増加するとみられます。また75歳以上では負担が減ります。

 

 これまで私たち日本人は個人金融だとかファイナンシャルプランニングといった課題に見ぬふりをしてきました。口座に振り込まれた金額が給与であり、言われるままに高額の保険を契約し、リスクの高い投資に資金を投入してきたと思います。また、夫婦2名+子供2名の「平均家庭」を想定してきました。そろそろ考え直す時だと思います。

 

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