―ガネーシャの憂鬱― 20190907

 

金融講座.16 「なぜ株価は激しく乱高下するか?」

 

 

 

 今年に入って、世界中で株価が乱高下を繰り返しています。今回は、この乱高下の、なぜかあまり語られない原因について取り上げてみます。答は、AI(人工知能)が膨大な金額を運用しているからです。

 

 一昨年だったと思いますが、ある世界的に著名な証券会社がファンドマネージャー(運用担当者)、アナリスト(調査担当者)など300名をクビにして(残ったのはそれぞれ1名!)50名のAI技術者に置き換えたことが話題を集めました。現時点でAIがどのくらいの金額を運用しているかは分かりませんが、多かれ少なかれ全ての資金移動にAIがからんでいるとみて間違いはありません。そうなると何が起こるでしょうか。

 

 AIの特徴のひとつは、目的合理性の高さだと思います。兵器としてのAIに関連して懸念されているのが、人間の兵士と異なり躊躇なく敵を殺戮すること。現在の遠隔操作によるドローンは、例えば攻撃ポイントに子供がいれば攻撃をためらう余地があります。これは映画にもなりました。ところが、すでにYoutubeなどで公開されているAIドローンによる攻撃例は、ただひたすら抹殺に集中します。映画「ターミネーター」の世界はすでに現実となりつつあります。

 

 今回(20198月)、ニューヨーク・ダウが1日で800ドル暴落したのは「逆イールド」というたった一つのキイワードのためです。基本的に、長期金利(10年国債)は短期金利(12年国債)よりも高いのが自然です。ところが、経済の先行きに懸念が大きくなれば、市場は短期資金にだけ集中し、長期の資金を提供したくない。これが「逆イールド」です。今回これが12年ぶりに米国で起こりました。前回は米国の住宅バブルがはじけ、これが2008年のリーマンショックを誘発した前兆でした。1980年以降、米国ではこの現象が4回起こっており、それから2年以内に景気後退が現実となっています。

 

 もうお分かりかと思いますが、「逆イールド」というキイワードでAIは一斉に株式を売る指示を出し、それが一方的かつ大幅な下落を招いたと考えられます。では、この波に逆らって買いを入れたらどうなるか。個別株ではたまに例外はありますが、残念ながら市場全体はすでにAIに支配されており、量的に人の判断は無力です。

 

 資金運用がAIに影響されている以上、これからも大幅な乱高下は避けられないと考えるべきでしょう。ではどうするか。簡単です。景気が好転するなら株式に、後退するなら債券に、などの基本を守れば良いのです。現時点で、AIには基本的な公式しか入っていないと思われるからです。ただし、近い将来、AIは人間をだます極めて簡単な方法に気付くはずです。ヒントは、AIには論理はあるが倫理はない、という単純な事実。

 

 実は、日本はもっと深刻な危機にさらされているのですが、これはまた別の機会に。

 

 

 

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