―ガネーシャの憂鬱― 20190915 

 

金融講座.18 「モノづくり」神話の行く末

 

 

 

 米国で生活していた時に「バブル・ティー」という言葉を聞いたことがありました。お茶のソーダかと思ったら、これがいま大流行のタピオカ入りドリンクでした。先日、原宿を歩いたら、なんと竹下通りの両側にぎっしりと(というのはオーバー)タピオカ・ドリンクの店が並んでいます。東京だけの現象ではなく、この流行は日本全国に広がっているようです。

 

 ご存知ない方がいるかも知れませんが、半透明の小さな粒(中にはいろいろと色付けしたものもあるようですが)であるタピオカの正体は、キャッサバ芋のでんぷんを固めたもので、固めの葛あんのようなものです。なぜこれが流行するのかはよく分かりませんが、今回のブームは3回目とのこと。有力説は、インスタ映え(写真の投稿)することに、高校生を中心とした若い女性が飛びついたから、だそうです。(そういえば最近は「インスタ映え」が過ぎて、巨大な特盛りを注文してもほとんで手を付けない客が増え、名物の特盛をやめる店が続出しているそうです)あるいは見た目が「カワイイ」からかも知れません。

 

 もうひとつ、証券市場でTDKという会社が注目されています。ある年代より上の方は、カセットテープのメーカーとして記憶にあるかも知れませんが、磁性体の専門メーカーです。注目されたのは、磁性体ではなくこの会社が買収したラミネート型リチウム電池が大ヒットしているからだそうです。これがどこに使われているか。大都市圏で生活していない方はご存知ないかも知れませんが、多くの通勤客が小さなイヤフォンを両耳に入れているのにお気づきかと思います。これはブルートゥース(短距離小電力無線)によるコードレスイヤフォンです。ここに大量に使われており、世界シェアの3分の1を持っているとのことです。(2019827日付日本経済新聞による)

 

 ただ、残念なことは、タピオカもラミネート型リチウム電池も市場規模が小さく、経済全体をけん引するような力がありません。いま世界をけん引しているのは各産業のナンバーワン企業か、GAFAGoogle, Amazon, Facebook, Apple)などのプラットホーム企業(ビジネスをするための基盤を提供する企業)です。これは知的財産を軽んじてきた日本が不得意とする分野でもあります。

 

「モノづくり」と言いますが、世界の家電製品の8割は中国製だという統計もあります。中国はこれまでは世界中から輸入した部品を組み立てていただけでしたが、現在は開発する力も強くなりました。日本の家電メーカーが油断している間に、英国のダイソンは掃除機に革命を起こしました。半導体もディスプレイも日本製は消えようとしています。

「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という本が出版され、日本の経済界から「もう欧米から学ぶことはなくなった」という声まで出てから40年で、国際的な日本の地位は大きく後退しました。別にナンバーワンになる必要はないかと思いますが、このままではオンリーワンの地位も失いかねません。ただ泡と消えるのを座して待つのでしょうか。