―ガネーシャの憂鬱― 20190922

 

金融講座.19「年金は生活のオマケか」

 

 

 

 828日、(多分)参院選の関係で先送りされ続けてきた年金の「財政検証」が発表されました。九州豪雨の関係であまり報道されていないので、ここで少し私たちなりの検証をしておきたいと思います。

 

 年金の財政検証は、5年に一度、日本経済の先行きを含め、私たちの年金がどの程度生活を支えてくれるかを検討する材料です。なにしろ「サラリーマンの夫と専業主婦の妻」という世帯を前提にしていますので、若い方々にはあまり役立ちません。が、今回はっきりしたことは、「年金は生活のおまけ程度にしかなりません」という事実が明確になったことです。

 

 日本の年金制度(国民年金)が始まったのは1961年、その当時の平均寿命は男性65歳、女性70歳でした。つまり、退職してからの10年間を支えれば良い、という制度設計でここまで来たのです。ところが平均寿命は伸び続け、一方でそれを支えるはずの年金会計は官僚の無駄遣いで消えていきました。例えば年金会計を注ぎ込んで各地につくられた「グリーンピア」という施設はほとんどが廃墟となり、さらに職員宿舎など事務費の乱発、あげくは事務機発注に係る賄賂で100人の官僚が更迭されました。これが15年前の事実です。つまり、この時点で「年金制度がおかしい」ことは明白になっていました。それを放置してきたわけですから、責任の一端は私たちにあります。現在も私たちの年金基金は株価下支えに使われており、乱高下するたびに巨額の資金が年金基金と日銀から海外のファンドに流れています。

 

 今回の検証では、経済の先行きにいくつかの仮定をおいており、これが極めて分かりにくい原因になっています。ただ、最善のケースでも経済成長率は0.9%です。しかも、かなりの部分を技術革新が支えることになっており、これは相当に甘いと言わざるを得ません。この前提ならゼロ成長を基本に考えなければなりませんし、この場合、検証では退職後の年金所得は現役世代の44.5%となり、現在30歳の人は68歳まで働く必要があります。

 

 つまり、今回の検証が言っていることは、「年金だけで人生を全う出来るなんて、考えないでください」というシンプルなメッセージです。この先、少子高齢化を食い止められるわけもなく、巨大な年金資金にたかる政治家や官僚がいなくなるわけでもありません。となると「皆さん、がまんして頑張ってくださいね」という単純な答えしか残されていません。

 

 現役世代の方々は、まず給与明細を良く見てください。出来れば、それを数年前と比べてみて下さい。いかに手取りが減っているかお分かりになると思います。それが現実です。年金で生活されている方は、現在の八掛けで生活することを考えてください。この先、「マクロ経済スライド」という年金削減策が待っています。

 

 繰り返しますが、今から15年前に年金制度の矛盾は白日の下にさらされていました。今からでも遅くはありません。自助努力と生活防衛に手を着けて下さい。

 

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