―ガネーシャの憂鬱― 20190930 

 

金融講座.21「マイ・インターン」に見る正しい中高年男性の働き方

 

 

 

 若くして成功した女性経営者ジュールズ(アン・ハサウェイ)のもとにやって来たインターン、ベン(ロバート・デ・ニーロ)は70歳。ラフなスタイルの若者ばかりの社員たちの間を、ダークスーツ姿で悠然と仕事を進めて行きます。ベンは新興企業に新風を巻き起こすだけでなく、ジュールズの夫の浮気も一気に解消し、新たな成長企業への路を切り開く。これは2015年に公開された映画「マイ・インターン」のあらすじなのですが、ご覧になっていない方にはお勧めします。あくまで軽いコメディ・タッチですが、何と言ってもロバート・デ・ニーロが無駄に年を取っていないダンディなオヤジ役で好演しており、スーツ姿も含めて中年以降の男性には学ぶところが多いと思います。

 

 この映画のことを思い出させたのは、例の年金検証です。ここで示されたのは、なんとか70歳まで働かないと大変なことになる、というシンプルなメッセージです。定年という制度があるのは日本くらい(年齢による退職勧告は基本的に雇用差別で人権侵害)で、それを過ぎて会社にいるのは、オーナー経営者を除けば、かつての権力を振り回す多数の老害族というのが日本企業の実態です。

 

 この映画から学ぶところは、70歳にしてインターン、つまりベンにとってはこれからが新しいキャリアです。若い社員を観察し、自分のスタイルでその中に溶け込み、伝統という新風をさりげなく吹き込んでいく。上司のジュールズにはあくまで黒子に徹し、しかし年の功で彼女の表情から私的な問題まで察して改善のおぜん立てをする。まあ、デ・ニーロですから勝てる訳はないのですが、これくらいしなやかな70歳になれたらと思わせられます。

 

 どうも私たちは長年染みついた「会社」や「働き方」から抜け出られていません。55歳で退職し、65歳で人生が終わる時代ならそれでも良かったでしょう。しかし、人生100年と言われ、しかも年金は生活の足しにしかならない、となれば、私たちはいくつになっても新しいキャリアに挑む必要が生じます。そのときに自分の形成したキャリア、それが資格などの形を持っていなくても、企業人として生きてきたことで学び取ったことを、次の世代と共有していくことで、社会人としてはまだ活躍する機会があると思います。

 

 映画ではシニア・インターンという制度で企業に参加するのですが、米国全土でそういう制度があるのか分かりません。もしかしたら、州や市などの単位であるかも知れません。が、高齢化が進む日本でこそ、あっても良い制度だとは思います。

 

 ただ、いくつか条件があります。新入社員ですから給料は高望みしない。新入社員と同じ目線で仕事を見る。「オレは偉かったんだぜ」「オレはこうして成功したんだぜ」のオヤジ風を吹かせない。でも、「さすが」と女性たちに言われるだけの年の功は発揮する。

 

 うーん、やはり無理かも知れない、でしょうか、中高年男性の皆さん?まさか、元〇〇株式会社社員以外アピールする点がない、なんて寂しいことは言わないでくださいね。

 

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