―ガネーシャの憂鬱― 20191005 熊井泰明

 

金融講座.23 正しい「金」の買い方

 

 

 

 群馬県赤城山の山中に徳川の埋蔵金360万両(現在価格で約5,000憶円!)が眠っている、という伝説を聞いたことがありますか。この他にも、カリブ海に沈む海賊船の金塊など、「隠された秘宝」はだいたい金がからんでいます。

 

 なぜ金が「隠された秘宝」なのでしょうか。確かに金には人を魅了する妖しい輝きがあります。しかし、それだけなら他にも何かありそうです。実は人類がこれまでに掘り出した金の総量はあまり多くはありません。オリンピックプール2杯分程度(1415万トン)と言われています。毎年掘り出される金の量は2,5003,000トン、まだ掘り出されない埋蔵量の総量が67万トンと推定されていますから、あと20年も経つと世界の金の総量はそこで止まります。つまり、供給量が限られているので希少価値があるのです。

 

 現在、金価格が高値をつけています。87日には1オンス(約31g)1,500ドルを突破し、2013年以来の水準になりました。(104 日現在日本円ではグラムあたり小売価格5,739円、買取価格5,652(税込み):田中貴金属工業調べ)金価格が上昇するのは、世界的に先行き不安が広がるときです。最たるものは戦争ですが、現在のように米中貿易摩擦、ブリグジット(英国のEU離脱)、世界的なデフレの拡散などの経済的不安も金価格に反映されます。ダイヤモンドなどは、重さだけでなく品質が価格を左右するので資産としては不向きです。金は国際的な市場があるため純度と重さで取引できる代表的な資産なのです。

 

最近は「日本円」も安全資産のひとつに数えられ、これが構造的な円高要因になっています。ですから、実はドルベースで高くなっても同時に円高になることがあり、円ベースではあまり利益が出ません。ですから、あくまで安全対策の資産と考えたほうが良いでしょう。

 

 ついでに、株式や債券などの伝統的資産に対し、金などの貴金属や不動産はオルタナティブ(代替)投資と呼ばれます。現在では株式も債券もリスクが大きいので、金や不動産が注目されています。ただし、日本では不動産の売却が難しくコストもかかります。さらに人口減少する状態では注意が必要です。損益合算出来ない人にはお勧め出来ません。

 

 個人が金を資産にすることができるでしょうか。これが意外に簡単なのですが、その注意点だけ指摘しておきましょう。まず金塊(インゴット)は買わないこと。自宅に保管する手間、傷などの取り扱い上の注意、さらに売却の時に鑑定料を取られることもあります。購入した会社で保護預かりにすれば売却もスムーズですし、仮にその会社が倒産しても顧客の資産は安全に保護されます。金の加工品は資産にはなりません。使われている金価格の倍以上の価格ですし、換金しようとすると莫大な鋳直し料と鑑定料がかかります。

 

 お勧めは、毎月3,000円程度の定額購入を続ける方法です。いざという時の代替投資ですから、全資産の1割程度までで良いでしょう。ドル・コスト法と言って、長期の価格変動にも耐える投資方法です。取引会社は、三菱マテリアル、田中貴金属などに限定して下さい。これら以外の先物業者に関わると、全財産を失う危険があります。

 

©2019Yasuaki Kumai, All rights reserved