―ガネーシャの憂鬱―20190709

 

金融講座.3「今ここにある危機」

 

リスクを取り過ぎないために考えておくこと

 

 最も信頼できる予測は人口統計です。今年20歳の人は10年後に30歳になります。これほど確かなことはありません。日本の合計特殊出生率11.42ですから人口が減り続けることは確かです。まずこれが前提1です。

 

 次は、日本が成長できる可能性2ですが、これはいろいろな試算が年率0.5%と予測しています。これが前提2です。また、日本国はGDP2.4倍にあたる1,200兆円の公的債務を抱えています。破綻の可能性は低いですが、ハイパーインフレのリスクは残ります。3これが前提3です。巨大地震や戦争は予測不可能ですから、これは前提には入れません。ただし、戦争に巻き込まれかねない状況を創り出す政治家がいたら、これは明確なリスクとなりえます。

 

 以上の3つの前提は、「今ここにある危機」であり、私たちの将来を考えるうえで無視することは出来ません。残念ながら、リスクというよりは現実なのです。

 

 では、あなた自身のリスクはどうでしょうか。まずご自身が事故や病気などで働けなくなるリスク。最近増えているのが、介護などのために仕事をあきらめるリスク。いずれも制御不可能ですから、これは保険で対応することになります。

 

 では、これに対応するにはどうしたらよいでしょうか。資産運用でしょうか。残念ながら違います。資産運用にはマクロ経済のリスクが必ず付きまといますが、こちらは上のようにネガティブな要因しかありません。あなたがこうしたリスクを理解できて、その隙間を縫って資産運用する自信があれば良いのですが、そうでなければ安易に資産運用を考えてはいけません。

 

 実は過去30年間、一番効率が良かったのは現金なのです。物価が下落する状況では、相対的に現金の価値があがります。これまで100円だったものが95円になった、ということは、100円の現金の価値が上がったことになります。ただし、現時点で物価はいやな上昇を始めています。しかし、繰り返しますが、あなたがリスクを適切に管理できないなら、運用には慎重になる必要があります。

 

 対応策は、若いなら自分投資、金融資産があるなら分散投資です。自分投資は前回ご紹介したので、次は分散投資という考え方をご紹介しましょう。

 

1 15歳から49歳までの女性1人が出産した子供の数。2で人口は横ばい。

 

2 日本の労働力と資本を全て使って実現する潜在成長力。

 

3 物価の著しい上昇。現在、ベネズエラは年率1000万%のインフレを経験しており、

 

   歴史的には第一次大戦後のドイツなどの例がある。メカニズムは少し難しい。

 

                         ©Yasuaki Kumai 2019, All right reserved