―ガネーシャの憂鬱― 20190726 

 

金融講座.7 「あなた、簡単に自己破産しますよ」

 

 

 

 日本企業の3社に2社は赤字です。中には数千億円という赤字を計上する会社もあります。それでも倒産しないのは、なぜでしょうか。実は、企業は赤字だろうが売り上げ不振だろうが、金庫に借金を返せるだけの現金があれば倒産しません。つまり倒産というのは、決められた期日に借金が返せなくなって、初めて起こるのです。小さな飲食店が、簡単にはつぶれないのは、毎日現金収入があるからです。だから、キャッシュレスには過剰なまでの警戒感があるのかも知れません。会計は意見、現金は事実です。

 

 同様に資産も意見ですが、負債は事実です。「私は時価3億円の山を持っている」と言っても、その山からの現金収入がなければ固定資産税が無駄にかかる、つまりキャッシュアウトするだけです。しかし、借金は「何月何日までに耳そろえて持ってこい」という訳ですから、山なんかあったって意味がない。よく「日本政府には資産があるから、1,100兆円の負債なんて」という人がいますが、では霞が関のビル群を誰が現金で買ってくれますか。でも国債は決められた日に償還しなければならない。そうなれば消費税20%です。

 

 ということで、ここからが本題。個人が破産する簡単な例をご紹介しましょう。個人が借金できる限度は、総量規制として年収の1/3までと決められています。金融機関はこれを確認して貸出を決めます。ただし、住宅ローンなど担保のある例は、個人の条件で決まります。ところが、意外なところにこの規制の抜け道があります。銀行のカードローンです。お持ちの方、読めないほど細かく膨大な約款を読む気がなければ、今、カードを破棄して下さい。下手に使ったら、高利であなたの生活は大きく傷つきます。

 

 借金がかさむ、というのは分かりやすいのですが、もっと簡単にあなたの信用状況が悪化してしまう例をご紹介しましょう。多分、お持ちのスマホは通信料金とセットで分割代金を払っているでしょう。これが一度でも滞納すると、通信料金は追納できますが、スマホ代の未払いでは、あなたは金融機関共通のブラックリストに載ります。その結果、将来住宅ローンが借りられなくなったり、高い金利が条件になったりします。

 

 もうひとつがリボ払いです。毎月一定額だけ払っていれば良い、という支払方法ですね。やっている方は分かると思いますが、いくら払っても借金の残高は減りません。無限連鎖のからくりになっているからです。さらに、これは個人負債として、あなたの信用状況に記録されています。借り入れなどで審査された場合、あなたには最初からイエローカードが出ていることになります。

 

 個人で最も大切なのは信用で、その源泉は個人情報です。中国ではアリババが作った「芝麻信用」という個人格付けがあります。過去の行動が記録され、そのスコアでこれからの活動が容易になったり制限がかかったりします。日本でもこれを導入しようという試みがあるようですが、「スマホを落としただけなのに」あなたの将来が閉ざされる時代になるかも

 

知れません。ご注意下さい。        

 

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