―ガネーシャの憂鬱― 20191025

 

金融講座25 私たちは働き方を変えないと、とんでもないことになる

 

 

 

 日本人は何のためにどんな働き方をしていると思いますか。パーソナル総合研究所がアジア太平洋地域の14か国の主要都市に働く人々の働く実態や仕事に対する意識を調べた「APAC 就業実態・成長意識調査(2019)」が公表されました。その内容は、まさにがく然とするもので、結論からいうなら「私たちの働き方もこの国の未来も決してしあわせなものとは言えない」と結論づけて良いものになっています。

 

 まず、収入ではUSドルベースで42,000ドル。インドとほぼ同じで、14か国中6位。最高はオーストラリアの66,000ドルでした。ただ、これは都市の高学歴ビジネスマン平均ですし、ドルベースなので為替レートの問題もあります。「一般社員・従業員」の割合が最も高い(=管理職が少ない)のは日本で、2位の台湾を約10%上回っています。さらに管理職比の男女差も19.6%と最大です。私たちは女性管理職の比率(13.9%で2位のニュージーランドの約半分)を問題にしますが、そもそも管理職が少ないのが日本の特徴です。そもそも管理職になりたい人が21.4%と2位のニュージーランドの41.2%に大きく引き離されています。最高はインドの86.2%です。

 

 組織文化もなかなか興味深い結果です。日本で一番重視されるのは「上層部の決定にとりあえず従う」です。各国で重視されるチーム重視は見られません。仕事を選択する際に重視することでは、全ての国でまず収入重視なのですが、日本では次に「職場の人間関係」が重視されます。他国ではインドネシアの5位が最高です。

 

 「仕事に対する意識と自己成長」へ来ると、衝撃的な結果が待っています。「出世したい」「プライベートを犠牲にしても仕事を完了させる」「年下の上司」「女性の上司」「外国人との共働」「フレックスタイム」など、ほとんどの項目で日本人の許容度は最低水準です。

 

 「成長志向度」「成長実感度」とも最低。しかも、そのギャップは最大です。さらに社外の学習・自己啓発となると46.3%の人が何もやっていません。比較では最大、下から2位のニュージーランドでも何もやっていない人は22.1%ですから学ぼうとしない、努力しようとしない日本人の姿が目立つ結果になっています。

 

 この調査結果をまとめるとこうなります。日本人はそこそこの収入で満足し、出世する希望を持たず、言われたことをこなし、周囲と波風を立てず、異質な同僚は排除し、成長したいとは思わず実感も持てない。さらに悪いことには、学ぼうとせず会社の外とも接点を持ちたがらない。この調査にはありませんがともかく長い時間を会社で過ごし、しかし仕事を達成するためにプライベートな時間を犠牲にしているつもりはない。今のぬるさが続いてくれれば良い。これで生産性が上がったら何かの間違いかマジックです。

 

 この調査の対象は40代の最も活躍しているビジネスマンです。それがこの状態、ということは、世界経済の混乱も相まって、日本は相当厳しい時代を迎えると覚悟しなければならないと思います。

 

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