―ガネーシャの憂鬱― 20191113

 

金融講座27 退職後の正しい「資金運用」

 

 

 

 日本だけにある「60歳で退職」に直面すると、まずは退職金をどうしようか、と考える人は多いと思います。あくまで個人的な見解ということでお読みください。

 

1. 現実を直視する

 

 あなたは、自分の資産と負債(借金)、毎月あるいは毎年の生活費がいくらか、把握していますか。第一歩はここからです。さらに、今後支出がどうなっていくか、おそらく教育費などは考える必要はなくなっていると思いますが、住居費や医療費などはどうでしょうか。収入は控えめに、支出は厳しく、100歳までの収支を見直してください。

 

2.「殖やす」ことは考えないほうが良い

 

 株式や債券運用の経験のある方はそれを活かせばよいと思います。有り余る資産のある方もご自由に。そうでない方は「殖やす」運用を考えないほうが良いと思います。投資収益は、経済活動±経済基盤、で成り立っています。経済活動は政策や個別企業の努力などで変動します。ところが、経済活動が依って立つ経済基盤は極めて軟弱です。日本は人口減少で理論的には成長困難です。海外は、特に短期的には貿易紛争やブロック経済などが、長期的には環境問題や難民問題が成長の足を引っ張るでしょう。つまり、世界的に経済には逆風が吹いており、こうした環境下で収益を出すには相当な知識と経験、さらに運が必要です。収益を出すには、大きなリスクを取らなければなりません。退職者はリスクに慎重になることがなにより重要です。

 

3.「守る」ことを考える

 

大切なことは、資産を増やすことではなく、安定したキャッシュフロー(収入)を保つことです。しかし、年金の支給額は「マクロ経済スライド」という政策で減少することが決まっており、増税や医療費負担増加も避けられません。つまり、手取りは大きく減る、という前提で考えたほうが良いでしょう。つまり、大変難しいことですが、生活のダウンサイジングとリーン・ライフ(筋肉質の生活)を目指す必要があります。では、何もしなくて良いのでしょうか。注意すべきはインフレ(物価上昇)です。基調はデフレ(物価下落)だとは思いますが、地域紛争などで一気に状況が変わる可能性はあります。また、膨大な累積財政赤字が思いがけないパニックを引き起こす可能性は捨てきれません。インフレに対抗する手段は、かつては不動産でした。しかし、東京の中心を除けば、人口減少を背景に「負」動産になっています。日本全国に846万戸、7軒に1軒の空き家がある時代に、新たに素人が不動産経営に乗り出すのは無謀だと思います。地味ながら一番簡単な手段は変動10年の個人向け国債です。元本保証で0.05%の最低金利保証があり、金利は市場環境で見直されます。金利は物価に連動しますから、インフレになれば受け取り金利も上昇します。もう少し積極的に取り組むなら金でしょうか。円ベースの金価格は安定していますし、ドル建てですからインフレで円安になれば円での価値は上昇します。

 

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