―ガネーシャの憂鬱―20191130 

 

金融講座31 私たちは何を選択するのだろうか―財政赤字を考える(Ⅲ)

 

 

 

国の在り方を見て来たなかで、次の質問は、当然、「私たちはどうするか」です。日本はどの国も経験したことがない速度で少子高齢化を迎えています。福祉の問題はまったなしです。

 

財務省によると、日本政府の財政構造を収入面でみると合計約100兆円です。うち6割が税収入、4割が借金(借り換え含む)です。支出をみると、3割が社会保障、15分が地方交付、3割が事業、25分が借り換えと利払いです。実額でいうと差し引き毎年16兆円借金が増える構造になっています。年収600万円の家庭が1,000万円支出しています。

 

皆さんがご存知ないであろう重大問題を指摘しておきます。実は日本の財政法では国の借金を原則認めていません。ただ、赤字になったらしょうがないだろ、という特例を認めています。これが積もり積もって1,000兆円を越えているのです。

 

問題は、こうした状況の原因でもあり、政府が放漫を続けている理由である社会保障をどうするか、です。少子高齢化が異常な速度で進む現在、現役世代の負担は限界に来ています。そのために私たちが現在選択しているのは、現在の子供や若者たちか、まだ生まれてもいない次世代につけを回すことです。政府債務の増大とはそういうことです。

 

政府は社会保障の削減という方向に舵を切ったようで、マクロ経済スライドという政策は将来の年金支払いを減額するという内容です。それでも少子高齢化、つまり負担と給付のアンバランスは解消できません。次に繰り出したのは自己責任原則で、これが漏洩したのが2,000万円不足問題でした。

 

消費税導入の最初の名目は「直間比率是正」でした。所得税などの間接税は限界、ならばそれを直接税である消費税で代替する。ところが、消費税導入は景気悪化につながり、税収は減る。結果、所得税など間接税や、実質税金に近い社会保険料も大幅に増え、手取りは減る。現状、消費税で代替しようとしたら税率20%以上は常識になっています。この他に医療費の問題もあります。つまり、私たちが直面しているのは、どういう国の在り方が望ましいか、なのです。自己責任国家なのか、高福祉高負担国家なのか。

 

ここで、政府の失敗の問題について。政府の失敗の典型例は、特定の利益代表あるいは既得権者による参入規制です。2000年まで、日本では一定以上の規模の店舗はそう簡単には作れませんでした。中小業者を圧迫する、という理由です。もっと深刻なのは途中で止まらない公共事業でしょうか。1949年に計画が決まった群馬県の八ッ場ダムが2020年に総工費5,320億円をかけて完成します。この71年の間に水需要は大幅に減り、観光くらいしか利用価値はありません。それが分かっていながら、一度走り出した事業が止まることはありません。皆さんの周りにも多数の例があると思います。例えば、菓子折りの下に現金を入れること、の結果のようです。

 

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