―ガネーシャの憂鬱― 20191223 

 

金融講座:特別編 2020年予測そのⅠ

 

 

 

 企業は2020年という年をどう見ているのでしょうか。1210日発表された工作機械受注統計にその片鱗が見えます。速報値では対前年同月比37.9%減でした。これで14か月連続で対前年同月を大きく下回り続けています。

 

 この統計は、文字通り工作機械の受注額ですから、同時に発注額でもあります。あなたが経営者だとしましょう。先行きが明るければ新しい機械を導入して積極的な方針を取るでしょう。逆に先行き不安なら設備投資には慎重になると思います。つまり、この数字は製造業中心にこれからの景気をどう見ているかを知らせる先行指標になっています。

 

 もうひとつ、先行きを示す重要な指標が日本銀行による全国企業短期経済観測調査、通称短観です。これは全国約9,700社に「今景気は良いですか、次の3か月はどうなると思いますか」というアンケート調査結果で、「良い」と答えた割合(%)から「悪い」と答えた割合を引いた結果です。10月時点ではマイナスが多く、企業規模を問わず非製造業の見通しが暗くなっています。

 

 個人の生活はどうでしょうか。こちらは10月までの結果しかなく、消費税導入というギャップがありますのでもう少し様子を見たほうが良さそうです。ただ、前2回の消費税アップのときは買い控えなどでGDPはマイナス成長となりました。今回は増税63,000億円に対し、ポイント還元など66,000億円の大盤振る舞いがなされているので、その結果がどうなるかは微妙です。ただ、給料や年金の手取り分は減り続けていることに加え、例の「2,000万円足りない」問題が浮上しており消費拡大は期待薄と考えて良いでしょう。

 

 ニューノーマル(新しい正常状態)という言葉をご存知でしょうか。これまでなら非常識な結果が、現在では当たり前になってしまった、という意味で使われます。例えば、経済政策が効果を発揮しない、これだけ人手が足りないのに給料は減り続ける、米国では景気が良いとされ失業率も記録的な低さなのに人々は貧困に苦しんでいる。こうした現象をさして、まあこんなものだ、という意味で使われます。なぜそうなのか、まだ明確な答えは出ていません。ただ、膠着状態なのは確かだと思われます。こうした数字を並べていくと、2020年は「現状維持なら可」という年のようです。

 

 ただし、可能性は極めて低いのですが、リスクをチャンスに変える機会がないわけではありません。懸念されていた米中の貿易問題、特に米国による関税引き上げはとりあえず回避されて米国の株価は史上最高値を更新しています。中国の景気動向は日本経済にも大きな影響がありますから、これは明るい兆しだと考えて良いでしょう。英国のEU離脱も、英国にとっては苦難の道が待ち構えているとしても、方向性が決まればEUをはじめ各国の対応が決まります。環境問題も改善へのコンセンサスが決まれば新しい技術や産業が生まれます。1973年の石油ショックの後、日本は省エネ技術で世界をリードし、安定した経済成長を維持したという経験があります。

 

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