―ガネーシャの憂鬱― 20191225 

 

金融講座:特別編 2020年予測そのⅡ

 

 

 

 以前、地政学リスクという言葉を紹介したことがあります。国家間に限らず民族紛争や宗教対立なども含め、特定地域の政治的、軍事的、社会的な緊張により、地理的関係によってその地域経済が不安定になることです。しかもそれが世界経済全体を不安定にすることがあります。

 

 例えば、北朝鮮という国が核開発をエスカレートさせ、これに米国が対抗したらどうなるでしょうか。第二次世界大戦までと異なり、他国を戦力で支配しようとする例は少ないでしょう。しかし、両国が繰り広げる危険なゲームで過ちが起こる可能性はゼロではありません。特に北朝鮮の行動には不透明な部分が多く、衝突が起こらないとは言い切れません。その時の戦場は、韓国と日本でしょう。この問題では日本は当事者だと思います。

 

 目を中東に向けると、イスラエルを中心とした混乱が目につきます。トランプ大統領は自分の支持基盤を固めるために、これまでの国際社会の努力を全て反故にして来ました。エルサレムという土地はキリスト教の聖地であると同時にイスラムの聖地でもあるという極めてデリケートな空間です。これをイスラエルの首都として認定してしまいました。また、その土地に住み着いていた人々を追放したゴラン高原という土地をイスラエルの領土としてしまいました。イラン問題の背後にはこの問題があり、さらにトルコ、シリアの問題が加わり、さらにその背後にはロシアの影が見え隠れするという複雑な構図になっています。イスラエル対アラブという歴史的な対立がトランプ政権によって一触即発の危機にあります。その中心であるホルムズ海峡に自衛隊を派遣しようとしていますから、ここでも日本は当事者になりつつあります。日本本土に影響がなくても、原油価格高騰で世界経済は危機の淵に立たされるでしょう。もっともエネルギー産業を後ろ盾にしているトランプ政権にとっては願ったりかなったりという事態かも知れません。

 

 南シナ海に目を向けると、ここでは中国が人工島を建設して巨大な軍事基地を作り上げ、全面的な領有を主張しています。そこへ「航行の自由」として米軍が堂々と航行を繰り返しています。米軍は沖縄を含む日本本土とグアムに巨大な軍事力を展開していますから、ここでも想定外の問題が生じれば日本は戦場になります。

 

 世界地図を見て下さい。出来れば地球儀が良いです。これを真上から見ると北極を中心とした世界が見えます。どうです、米ソ対立の時代から大国は北極を挟んでにらみ合っているのです。地球温暖化で北極海の氷が解けて巨大な航路が出現しました。この巨大な運河をめぐって米ロがつばぜり合いを演じています。

 

 ついでに日本が出ている地図の上下をひっくり返してみて下さい。日本はまさにアジアの極東であることが分かるでしょう。ここまででお分かりと思いますが、こうした緊張はトランプ政権と中国によってもたらされています。世界から冷たい目で見られているトランプ政権ですが、これを無条件で支持しているのは日本です。さて、その行く末は。

 

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