―ガネーシャの憂鬱―20191230 

 

金融講座:特別編 2020年予測そのⅣ

 

 

 

 経済予測を生業としていた身としては言いにくいのですが、予測は当たりません。なぜなら、金融界も産業界もその予測を見て行動を修正していくからです。

 

 ただ、絶対に間違わない予測があります。人口動態です。今年生まれた赤ちゃんは来年必ず1歳になります。いえ、冗談ではありません。大災害や極端な感染症などで大量の志望者が出ない限り、これに沿って日本も世界も動いていくのです。その視点から2020年からさらにその先を見てみましょう。

 

 2020年、日本の全女性の半数が50歳を越えます。つまり物理的に妊娠することが困難になります。そうでなくても結婚しない、結婚しても諸般の事情で子供を持たないカップルも増えています。今年の出生数は予想より2年早く90万人を割り込む見通しです。その先をみると、2022年には団塊世代(19471949:約800万人)が後期高齢者(75歳)入りし、2024年には全員が後期高齢者になります。そうなると日本の国民医療費の約3分の1(約15兆円)が後期高齢者医療給付で、この数字が飛躍的に大きくなります。つまり、この国の人口は減少を続けざるをえない状況にあり、それがますます顕著になっており、それが社会に大きな負荷を掛けているのです。

 

 その結果、何が起こっているか。まず限界集落(住民の過半数が65歳以上)の増加です。総務省と国土交通省の発表によると、20194月時点で全国で2,0349の限界集落があり、これは全町村の32.2%にあたります。さらに全員が65歳以上の町村が956、全員が75歳以上の後期高齢者で占められている町村も339あります。つまり3町村にひとつは限界集落であり、うち1,300近くは近々消滅の可能性に直面しています。

 

 もうひとつは、空き家問題です。総務省によると、全国の空き家数は201810月現在で846万戸です。これは住宅総数の13.6%、つまり7軒に1軒以上が空き家になります。ここでも原因は過疎化で、山梨、和歌山、長野、徳島では5軒に1軒が空き家です。

 

 このような状態になってもパニックにならない理由はなぜでしょうか。医療費について言えば、知らされていないという理由もあるのですが、若者あるいは現役世代が黙々とその負担に耐えているからです。それを日本的というのか、私にはわかりかねますが、若者は無条件に年寄りを支える、というシステムが破綻するのは時間の問題でしょう。

 

 空き家問題について言えば、これは政府の怠慢以外の何物でもありません。空き家が発生する理由は、ひとつには相続などで争いが起こるか放棄された場合です。持ち主が特定出来れば責任の所在がはっきりします。しかし、相続登記を怠ったために所有者不在(しかし誰かが所有しているはず)の物件が多数あります。これを廃棄するには全員の承認が必要なのです。もうひとつは、居住用不動産である限り税の減免が受けられるからです。家が建ってさえいればよい。更地にしたら税負担が数倍になります。これは制度の欠陥に目をつぶり、何もしない政府の怠慢であり、そのツケが私たちに回ってくるのです。

 

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