―ガネーシャの憂鬱―20191231

 

金融講座:特別編 2020年予測そのⅤ

 

 

 

 来年、あなたの給料は上がるでしょうか。残念ながら希望はあまりないと思います。

 

 まず、これまでの給料の変化を見てみましょう。いろいろ問題はありますが、ここでは平均給与で考えることにします。日本のサラリーマンの平均年収が一番高かったのはいつか分かりますか。国税庁によるとピークは1997年、それからずっと下がり続け、ボトムとなった2009年までの12年で約13%減少しました。一方、税金や社会保険料などを差し引いた可処分所得(手取り)は1998年のピーク(税金の関係で1年後ずれする)から15.4%減少しています。

 

 「失われた30年」という言葉がありますが、要するに日本人は貧しくなったのです。この間、最も所得が伸びたのはスウェーデンで38.4%、主要国では米国15.3%、英国25.3%など軒並み2桁の増加になっています。実はOECD加盟国で所得が2桁減少したのは日本だけです。

 

 その理由は明らかです。非正規労働者、つまり正社員でない労働者が大幅に増加したためです。総務省によると1995年の非正規労働者の割合は20.9%でしたが2017年には37.3%、つまり3人に1人以上が不安定で給与水準の低い状態に置かれていることが分かります。これが全体の所得水準を引き下げているのです。

 

 さらにここには計上されない消費税の問題があります。いろいろな例外やポイント還元を考えなければ、8%が10%になったということは25%も増加したことになります。また、いろいろな形で私たちの負担は増えていますから、実質可処分所得の減少はさらに続くと考えて良いでしょう。

 

 では給料が増加しないとする理由は何でしょうか。それはトヨタに関係してきます。トヨタの労働組合が5段階評価の給与査定を容認するとのニュースがありました。つまり、社員一律の賃上げではなく、評価による減収から大幅増収までの実力主義給与を推進する、ということです。労働組合がいつから人事部の代行になったのかは知りませんが、金融機関で同じことを経験した身としていえることは、賃下げ圧力が一段と高まった、ということでしょうか。大多数の社員の評価を少しずつ下げれば良いだけのことですから。

 

簡単な話です。実力によって評価する、ということは、全体の予算を決めてそれを配分することになります。その際、評価の低い人間を多数つくれば予算は少なくて済みます。5段階評価の平均を引き下げれば良いだけの話です。トヨタがこの方針ということは、日本の製造業が雪崩を打ってこの方向に動くことになるでしょう。経団連は、もう終身雇用も給与外給付(社会保険など)の負担も無理と言い始めています。

 

経団連など経済団体には紺か灰色の高齢者男性しかいません。彼らは昭和モデルの成功にしがみついているだけですから、現実に沿った変化を起こせません。変化を起こすには女性を中心とする多様性を進めるしかないと思います。

 

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