―ガネーシャの憂鬱― 20200301

 

金融講座44 リーマンショック級の経済危機かもしれない

 

 

 

 BCPとは「事業継続計画」のことです。例えば、東京に大地震が発生した場合、全ての機能が集中していたら企業の機能が止まり、最悪の場合、倒産になりかねません。そこで企業は事業拠点や管理拠点を分散し、事業を継続するための計画を持っています。多くの企業が新型コロナウイルス蔓延に備えてこのBCPを発動しました。

 

 具体的には、金融機関はバックアップまたはミラーサイトと呼ばれる施設で平行して管理業務を開始しました。1か所で患者が発生しても、業務を止めずに済みます。製造業では、取引先の信用調査を強化し、倒産や債務不履行に備えた引当金の積み増しなどを始めています。中には、製造委託先の金型回収まで準備計画に盛り込んだ企業もあります。

 

これだけ大規模にBCPが発動されたということは、企業は今回のウイルスを極めて深刻な危機と捉えている、ということです。世界を眺めてみると、日本のあまりにぼくとつな対応が目につきます。現時点で称賛されているのは台湾の対応です。日本で国内感染者が見つかったのは116日、感染症指定は28日です。ところが、台湾では患者が一人も出ていない15日に感染症指定が済み、共働き家庭について子供の世話が必要になる場合は看護休暇を付与、拒否した企業は処罰対象となるという制度を作りました。

 

また、台湾は約2,200億円、米国は約2,700億円、シンガポールは約5,000億円の対策費を用意しましたが、日本では、新年度予算は不明ですが、現時点までの対策費はマスク代など153億円です。台湾では総統、首相はじめ政府が寝る間を惜しんで対策に走り回っていますが、安倍首相の行動履歴からは1回平均11分の対策行動しか記録されていません。21日の稲田朋美氏誕生会には2時間を費やし、宴会の無い日は早帰りを実践しているのに。

 

検査体制の不備も目立ちます。政府は13,800件の検査体制があると公表していますが、実際の検査件数は1日平均960件です。理由は、主に厚労省傘下の国立感染症研究所が担当しているため。研究機関ですから臨床には対応できません。現在は、医師が保健所に連絡して許可が下りれば初めて検査対象となります。しかし、高熱が4日以上(高齢者は2日以上)など、重篤を通り過ぎて手遅れにならないと検査対象にならず、それも検査の連絡がつかず、さらに一方的に断られるという状況のようです。韓国ではドライブスルーの検査所まで作られ、1日最大7,500件の検査をこなしているのとは対照的です。

 

巷では「検査を増やすと患者数が増え、周主席来日やオリンピックに差し支えるので検査せずにスルーしている」という説も流布されているようですが、真偽はともかく、公表されている数の患者では済まない、もしかしたらまだ発病していない保菌者が大量にいる、という前提で行動しなければなりません。企業のBCP発動はその表れです。

 

残念ながら、この国の政府が国民を大切にするという意思は見られず、国民もそれが当然であることに慣れてしまったように思えます。しかし、世界の動きを見ると今回の事態がどれだけ深刻か分かります。あきらめずに最悪の事態に備える必要がありそうです。

 

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