―ガネーシャの憂鬱― 20200310

 

金融講座45 リーマン超えの経済危機か?

 

 

 

 世界は新型コロナ・ウイルスに揺れていますが、実は問題はこれだけではありません。

 

 原油価格が急落しています。(9日東京29.95ドル/バレル)新型コロナ・ウイルスの感染拡大による景気後退により原油需要が大幅に減少し、価格が下落することを先物が敏感に感じた結果です。ところが、これだけで話は終わりません。原油価格下落で打撃を受けるのは米国のシェール・ガス業者で、彼らの損益分岐点は40ドル/バレル周辺です。

 

問題は業績悪化だけではありません。日本では格付けBBB以上の投資適格債券しかありません。しかし、米国ではどんなに業績が悪くて信用が低くても、倒産寸前でも高い金利さえ払えば債券を発行できます。これをジャンク債と言います。シェール・ガス業者は楽観的な見通しから相当低い格付けで資金を調達しています。彼らの債券価格は大幅に下落しています。エネルギー関連の債券発行額は不明ですが、OECD(経済開発協力機構)調査では、世界中の債券は19年末現在13.5兆ドル(約1400兆円)と08年末に比べ2倍近くに膨らんでいます。このうち、今後3年以内に償還を迎える社債は4兆ドルを超えます。償還できなければ倒産になります。米国ではよくある話ですが、それが世界的に連鎖したら。

 

7日、レバノンがデフォルト(債務不履行、事実上の倒産)となることが決定的になりました。政治的にとても難しい立場の国ではありますが、政府債務が国内総生産(GDP)の170%という難しい状態に追い込まれていた国です。(日本は200%を超えています)小さな国、ということであまり深刻には取り上げられていません。しかし、リーマン・ショックも小さな事実から大きな問題に広がっています。事実、9日のニューヨーク市場では下落幅が大きくなりすぎて、サーキットブレーカー(売買一時停止)が発動されました。

 

まだあります。日本ではあまり報道されていませんが、アフリカ東部や南西アジアのインド、パキスタンで大量のバッタが農作物などを食い荒らす被害が深刻化しています。被害はケニア、エチオピアやソマリアでからパキスタンまで広がっています。最も被害が深刻なケニアでは1000億~2000億匹のバッタが約2400平方キロメートルの範囲で農作物を襲っており、8400万人分の食糧が失われることになります。これがアフリカから中東に至る地域で食糧危機と大々的な飢餓を引き起こす懸念が広がっています。

 

昨年、日本は大きな台風による「想定外」の被害を受けました。しかし、あなたの隣にいる人の幸せを考えたら、「想定外」なんて官庁用語はやめましょう。企業経営に携わるなら、あらゆるスーテクホルダー(利害関係者)のことを考えなければなりません。それほど大変な危機なのです。常に最悪の事態を考え、そうならなければ幸運で良いではないですか。

 

個人的な意見ですが、昨年の天候の異常事態から考えて、これまで正常と考えられていた世界は限界を超えてしまったように思います。経済も花見酒の限界を超えました。ではどうするか。それは私たち、あなた方が現実を直視して正常な判断を持つことでしょう。常識という言葉と行動が求められているのです。

 

©2020 Yasuaki Kumai, All rights reserved