―ガネーシャの憂鬱― 20190610

 

2,000万円用意しなさい、と言われても…

 

 

 

 もうご存知の方も多いかと思いますが、金融庁が「夫婦で95歳まで生きると年金では2,000万円足りない」という報告を出してきました。自公政権が、年金で「100年安心」と豪語したのが2004年ですから、ちょうど15年で実質的に破綻を認めたことになります。

 

 この提案はつっこみどころ満載なのですが、今回はこれに備えるために長期分散投資を進めている部分について取り上げてみます。結論から言えばこれは大変難しい。厚労省のデータでは、1997年に2,868万円(大卒サラリーマン)あった退職金は、2017年には1,788万円になっています。高卒ですとこの半額です。さらに退職金は傾向的に減っており、将来は退職金そのものがなくなる可能性があります。つまり、退職金はあてにはなりません。ということで、政府は「あとは自己責任」と言い出しました。

 

 では、果たして運用で資産形成は可能でしょうか。もちろん、一発当てる人はいると思います。しかし、運用の知識や経験のない「平均的な日本人」には、まず難しい。その理由を説明しましょう。

 

 投資で、安全な資産の利回りを超える収益を得るためには、リスクを取らなければなりません。安全な資産とは、理論では長期国債利回りですが、これがマイナス0.1%(64日現在)です。資産形成するには最低3%分程度の収益が欲しいところですが、リスクを取った場合、必ず良い方向に向かうとは限りません。リスクとは「期待外れになる可能性」ですから、上にも下にも振れます。

 

 なぜ収益が期待出来ないのか。日本経済の潜在成長率(存在する資本と労働力を全て投入して得られる成長率)は0.5%程度です。日本の持てる力を全て注ぎ込んでも、これが限界なのです。つまり2.5%のリスクを取り、それが常に良い方向に向かい続けなければなりません。何十年もかければ、慎重にやればある程度の成果を得られるでしょう。そうなると、若者はともかく45歳以上はギャンブルのつもりで運用をする必要があります。ただ、想定外の事件が起これば即破綻です。若者には時間があってもお金がない。

 

 東京株式市場の最高値は1989年(平成元年)末の38,951円、本日(64日)の終値が20,408円ですからほぼ半額になりました。しかも、これは日銀と私たちの年金資金が買い支えているから実現している水準です。今年はリスクだらけで、仮に日経平均が18,000円を割ると、日銀がつぶれると言われています。為替は1989年末で約140円、本日は108円ですから約3割の円高です。つまり当時、海外に分散投資していたならば為替では3割損を出したことになります。

 

 これから機会をとらえて資産形成や運用のお話をしますが、今のところ、これだけは覚えておいて下さい。「2019年、日本国民は政府から見放された」

 

 

 

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